ランクル200▲人気の高さと相まって中古車相場も長年、高止まりしてきたランクル200だが、ここにきて価格帯が大きく下がってきた!

ランクル200が欲しい人は今が好機

日本が世界に誇る本格四駆といえば、誰もがランドクルーザーの名前を挙げるだろう。その中でも、2007年に登場したランドクルーザー200(以下、ランクル200)はランクルらしい悪路走破性とタフさ、プレミアム性を兼ね備えたモデルとして中古車市場でも絶大な人気を得てきた。

ランドクルーザーはその成り立ちから、大きく「ヘビーデューティ系」「ステーションワゴン系」「プラド」の3系統に分かれるが、ランクル200は「ステーションワゴン系」に属する最高峰のモデルだ。

人気の高さから中古車市場においては“年式が古くても価格が下がらない”車の代表格だったが、今年7月になってついに中古車平均価格が下落基調になってきた!

もちろん、一般的な中古車と比べればまだまだ高水準にあるが、ランクルを欲しい人にとって狙いやすくなってきたのは確かだ。そこで今回はランクル200の概要を振り返りつつ、中古車価格下落の要因を分析。さらに今、ランクル200を買うならどのモデルが狙い目か、目的別に選んでいきたい。

ランクル200 ▲14年間にわたって生産されたモデルだけに、中古車は年式も価格帯も幅広い。選択肢が多いのは良いことだ

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トヨタ ランドクルーザー200 (初代) × 全国
 

1.ランクル200のモデル概要

ランクル100の後継モデルとして200がデビューしたのは、今から16年前の2007年9月。300にバトンタッチする2021年まで実に14年ものロングライフを誇ったモデルだ。

ハシゴ型フレームの上にボディを載せた強固なラダーフレーム構造、センターデフロック機構および副変速機を設けたフルタイム式4WD、大入力にも耐え、優れた路面追従性を発揮する後輪リジッド式アクスルなど、従来ステーションワゴン系ランクルが受け継いできた伝統を守りながらも、オンロードでの快適性向上にも積極的に取り組んだモデルだ。

ランクル200 ▲オフロード四駆として伝統的な構造を守りながら、先進的なメカニズムも数多く採り入れられた

駆動方式はもちろん全車フルタイム式4WD。前後不等配分(30:70~50:50)のトルセン式センターデフが採用された。オフロードでの走破性はもちろん、オンロードでも4WDの恩恵が受けられる機構となっている。

フロントサスペンションは100のダブルウィッシュボーン式トーションバースプリングから、コイルスプリングへと変更。サスペンションストロークが長くなるとともに、オンロードでの操縦安定性、乗り心地も向上した。

ランクル200 ▲全長4950mm×全幅1970-1980mm×全高1870-1915mmという大柄のおかげで、車内空間も広い。サードシートも実用的なサイズだ

搭載されるエンジンはデビュー当初、4.7L V8ガソリンエンジンだったが、デビューから1年半後の2009年4月に早くも4.6L V8ガソリンエンジンへと変更。後者はアルミダイキャストブロックや吸排気連続可変バルブタイミング機構を採用した先進的な構造だ。このタイミングでATも5速から6速へと変更されている。なお、海外仕様にはV8ディーゼルエンジンも用意されたが、日本国内仕様はガソリンエンジンのみだった。

14年ものモデルライフだっただけに、マイナーチェンジや改良も少なくない。主なものは下記のとおり。

●2009年4月:エンジンを4.7L V8ガソリン(2UZ-FE型)から4.6L V8ガソリン(1UR-FE型)へと変更し、ATを6速化。「ZX」グレードを追加。
●2012年1月:フロントまわり、ヘッドライトなどのデザインを変更。悪路で走行モードを任意に切り替えられる「マルチテレインセレクト」を採用。
●2015年8月:フロントまわりを中心に、デザインを一新。「トヨタセーフティセンスP」を標準装備。

ランクル200 ▲2007年9月~2011年12月に生産された前期型(写真は海外仕様)
ランクル200 ▲2012年1月~2015年7月に生産された中期型(写真は海外仕様)
ランクル200 ▲2015年8月~2021年8月に生産された後期型(写真は海外仕様)

フロントマスクの違いから、デビューから2011年12月までのモデルを前期型、2012年1月~2015年7月までのモデルを中期型、2015年8月~2021年8月(生産終了)までのモデルを後期型と呼ぶのが一般的だ。

ランクル200 ▲バイキセノン式ヘッドランプが新採用された2013年1月MC時の外観

グレードについては比較的シンプルで、下記のとおりとなる。

●GX(2010年7月~):3列目シートを省いて5人乗りとし、装備を簡略化したベーシックグレード。
●AX:デビュー時から設定されていた中間グレード。3列シート8人乗り。
●AX Gセレクション:AXにKDSS(キネティックダイナミックサスペンションシステム)などの装備を加えた上位バージョン。
●ZX(2009年4月~):4-Wheel AHC&AVS(四輪アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンション&アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)や専用内外装を備えた最上級グレード。

KDSSはサスペンションの位相によってスタビライザーの効力を変える機構で、ワインディングなどでは安定感ある走りを、オフロードでは自由なサスストロークを実現するもの。高級装備でなく、走りに関する装備でグレードを区別するところは、いかにもランクルらしい。

 

2.価格状況&考察

車に限らず、中古品の相場が変動するのは何かしらの要因があるもの。今春以降、ランクル200の中古車平均価格が急激に下降した原因を探ってみよう。まずは下のグラフをご覧いただきたい。

ランクル200

2023年に入っても、1~2月時点ではまだ高い水準を維持していたことが分かる。しかしそれが徐々に下降し始め、6月には前年と同水準に。そして7月以降ゆっくり下降し、11月にはついに前年同月比で54.8万円も低い平均価格となった。

中古車の相場に最も影響するのは言うまでもなく、需要量と供給量の関係だ。下のグラフはカーセンサーでのランクル200掲載台数を表したもの。2021~2022年は掲載台数にあまり大きな変化は見られなかったのだが、今年に入ってからかなり増え、現在も増加中であることが分かる。

ランクル200

中古車価格の推移と必ずしもリンクしていないが、供給量が増えてきたことが価格に大きく影響しているのは間違いないだろう。

では、供給量が増えた理由は何だろうか? 一般的に、中古車の物件数が多いのはデビュー直後の数年間。ランクル200の場合は2007~2009年式となる。

こうした年式のモデルを新車で購入した人は、初度登録から14~16年間乗っていたことに。タフな構造で長く乗れるのが身上のランクルとはいえ、そろそろ飽きたので買い替えようか、と考えても全く不思議ではない。初度登録から13年経過した車は自動車税・重量税の重課税率が適用されるので、そうした支出増を抑えたい意図も働いていることだろう。

ところでランクル200の中古車価格が下がり始めた今初夏といえば、8月に新型「ランドクルーザー250」がワールドプレミアされた時期とも重なる。250の新車価格は400万円台後半からのスタートと予想されているので、ランクル200の中古車平均価格とも近い。200を中古で欲しいと思っていた人が、新車の250に目移りして需要が減った……なんて可能性も考えられなくはない。

いずれにしても悪評判などが立って価格が下落したわけではないことは確か。今、中古車でランクル200を購入しようと考えている人にとって、供給量は十分で選択肢が豊富、価格も下がってきて実に喜ばしい状況だ。

 

3.コスパ重視なら前中期型の「AX」

ここからはケースごとにオススメの年式、グレードを紹介していこう。まずはコスパ重視のケースから。

もともとランクル200は驚異的な耐久性の高さを誇り、長く乗ることができる車。そのうえオフロード走行を存分に楽しむことができ、オンロードでも至極快適……と、車としての価値はすこぶる高い。どの年式、グレードを選んだとしても大満足のコスパであることは間違いない。

ランクル200 ▲シンプル装備ですっきりした外観の前期型も、実用的なランクルらしくて魅力的
ランクル200 ▲「AX」以下のグレードではシートがモケット生地となる

そのうえでさらにコスパを追求するなら、前中期型の「AX」をオススメしよう。「AX」はデビューから生産終了までずっとラインナップされた中間グレードだ。上位グレードのような高級装備、複雑な機構のメカニズムを備えていないが、トヨタSUVのフラッグシップだったランクル200だけあって装備内容は十分。

シャシーはもちろん、エンジンや駆動系の基本スペックは上位グレードと一切変わらない。中期型以降のモデルには、クロールコントロール+ターンアシスト機能、マルチテレインセレクト、「トヨタセーフティセンスP」などの先進機能も装備された。

価格の一例を挙げると、2007年式・走行距離6万kmの物件で総額228.6万円。初度登録から15年以上経過した物件となると一般的には故障や経年変化が気になるところだが、ランクルの場合は定期的に整備されてきた物件なら何ら問題ない。まだまだ長く乗れるランクル200を200万円台で手に入れられるなんて、どう考えてもリーズナブルだ。

ちなみに、よりシンプルな装備内容の「GX」も魅力的なグレードではあるが、主に官公庁からのニーズを狙った仕様だったために一般にはあまり流通していない。「AX」なら供給量が多く、選択肢も豊富だ。

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トヨタ ランドクルーザー200 (初代) × 2007年9月~2015年7月生産 × AX × 全国
 

4.価格と走破性どちらにもこだわるなら「AX Gセレクション」

価格とオフロード性能を両立させたい! だなんて、欲張りさん……しかしランクル200には、その希望を叶えてくれるモデルがある。「AX Gセレクション」だ。

「AX Gセレクション」は前述のKDSSを装備したグレード。KDSSはランクル200のコンセプトを象徴する特徴的な装備であり、オフロード派ならぜひ欲しいところだ。

ランクル200 ▲KDSSは電子制御でなく、物理的な効果で乗り味を制御するメカニズム。ゆえに信頼性が高い(写真は後期型)
ランクル200 ▲AX Gセレクションは本革パワーシートやステアリングヒーターを標準装備(写真は後期型)

走りの質にこだわるなら、デビュー直後の4.7L V8エンジン搭載車ではなく、2009年4月以降の4.6L V8エンジン搭載車を選びたい。というのも改良後の方が排気量は小さいが、吹け上がりのスムーズさ、燃費性能において圧倒的に勝っているからだ。

ということで2009年4月以降の「AX Gセレクション」を検索してみると、2009年式・走行距離11.2万kmで総額278.8万円の物件がヒット。やや走行距離が多めだが、適切にメンテナンスされてきた物件なら全く問題ない。

中期型ではやや価格帯が上がり総額300万円前後から、後期型は総額460万円前後からのスタートとなる。いずれにしてもオンロードもオフロードも楽しめて、お買い得感が高い。

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トヨタ ランドクルーザー200 (初代) × AX Gセレクション × 全国
 

5.後期型の装備充実車を狙うなら最上級グレード「ZX」

装備が充実した後期型でランクル200らしい贅沢さを存分に味わいたいなら、最上級グレードである「ZX」一択。「ZX」は海外仕様のレクサス「LX570」とほぼ同様の装備内容、つまり先代ランクル100でのシグナスに相当するグレードだ。

走行状況に応じて車高が変わるAHCは、ランクル200の万能さをさらに強化してくれる装備。サンルーフが標準装備となるのも「ZX」グレードの特徴となっている。

ランクル200 ▲かつてのシグナスを思わせる高級仕様がZXの特徴だ
ランクル200 ▲悪路走破性だけでなく、国産SUV随一のラグジュアリーさもまたランクル200の魅力

いでたちが洗練された後期型なら、現代の高級SUVと比べても装備内容や存在感を含めて全く見劣りしない。価格の一例を挙げると、2015年式・走行距離6.9万kmの物件で総額483.5万円。ランクル200の耐久性を考えると、まだまだこれからが本番というコンディションだろう。

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トヨタ ランドクルーザー200 (初代) × 2015年8月~2021年8月生産 × ZX × 全国

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トヨタ ランドクルーザー200 (初代) × 全国

※記事内の情報は2023年12月20日時点のものです。

文/田端邦彦 写真/トヨタ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。