初めてのポルシェ 911はコレを! モダンクラシックな「996型」と「997型」の魅力と現状と真実を専門店に聞いてきた
2025/07/24
▲高騰してしまった空冷モデルに代わり、現在911の中古車での狙い目は、現実的な予算でアナログ感も楽しめるモダンクラシックの「996型」と「997型」となっている。その2世代にこだわったポルシェ専門店で選び方やオススメなどを聞いたナローなサイズ感とアナログ感を現実的予算で堪能できる
まるで宇宙戦艦のように高性能&高機能な最新世代のポルシェ 911は、当然ながら素晴らしい。だが、「自分はクラシカルなポルシェの方が好きなのだ」と考える場合には、空冷フラットシックスを搭載した各世代に狙いをつける必要がある。
それはそれで大変けっこうなことだが、問題は「空冷時代の911は、今や天文学的(?)なプライスになってしまった」ということだ。
そんな状況下において注目したくなるのが、今や「令和のナローポルシェ」というニュアンスの味わいが出てきたようにも思える、1990年代末期から2000年代にかけて販売された「6系(996型911や986型ボクスターなど)」と「7系(997型911や987型ボクスターなど)」のポルシェである。
これら6系および7系であれば、(今となっては)ナローなサイズ感とアナログ感を、数百万円という現実的な予算で堪能できるのかもしれない。そこを確かめる目的で、神奈川県横浜市の6系および7系ポルシェ専門店「S-LINE AG」を訪ねた。
▲代表取締役社長の亀田好正さん(左)とマネージャーの松尾賢一さん(右)「S-LINE AG」代表取締役の亀田好正さんは、世にも珍しい6&7系ポルシェ専門店を立ち上げた理由を、以下のように説明した。
「私がペインターとして空冷911のレストアを行っていた時代、『自分が買える値段の911』は996型でした。そして『買えるから』という理由だけで購入し、乗ってみたところ――本当に素晴らしいと感じたのです。当時から『乗用車的でつまらない』などともいわれていた996型ですが、私には『本当に素晴らしい乗り物』としか思えなかった。そうして個人的にほれ込んだことで、ペインターを卒業して一念発起、6系および7系ポルシェの専門店を立ち上げたのです」
初めての911にオススメなのは、ティプトロニックの996型カレラ
とはいえ、濃口のポルシェ愛好家からはいろいろ言われがちな996型だけあって、やはり短所のようなものもあるのではないか?
「996型に関してはあまりにも好きすぎて、短所は思い浮かびません(笑)。インターミディエイトシャフトの件にしても、私に言わせれば都市伝説です。ネットでは『インタミ 破損』などのワードがとかく注目されがちですが、私および私の周囲は、誰一人としてインターミディエイトシャフトのベアリング破損を経験していません。基本的には『まったく心配いりません』と断言してよい部位だと思っています」
では逆に「996型の魅力」とは何なのだろうか?
「996型のポルシェ 911は、野趣あふれる魅力があった空冷世代と、後の水冷世代のハイブリッドと言いますか、『往時の空気を感じながら、しかし快適に乗れる』という点が一番の魅力であると思っています。現代的ではあるのですが十分なアナログ感があり、そして同時に、ボディサイズを含む“古典感”は十分に感じられるが、やっぱり現代の車でもあるという絶妙なバランスが、私にとってはたまらないポイントです」
▲全面的に刷新した現代911の祖、996型。1998年に登場した際には、やや大型化したボディや3.4Lの水冷DOHCエンジンを搭載したことが話題になった▼検索条件
ポルシェ 911(996型)▼検索条件
ポルシェ 911カブリオレ(996型)ならば、996型に続いて2004年に登場した997型は?
「997型は、やはり丸目のヘッドライトに回帰したということで人気が高い世代ですね。そして後継の991型と比較すれば、いわゆるアナログ感も十分に残っているという意味で、私としては996型だけでなく997型も“モダンクラシック”と呼んでいます。
997型は、特に前期型のテールランプがいいんですよ。後期型からはLEDでパキッと光るようになってしまったのですが、前期型はごく普通の電球なので、やや薄暗いニュアンスでぽわーんと光る。そのクラシカルなたたずまいがたまらないのです!」
997型は「6番シリンダー内部に傷が入り、エンジンが壊れる」ともいわれているが?
「それも都市伝説ですね。もちろん、きわめてレアなケースとして6番シリンダーに問題が生じたこともあったのでしょう。しかし996型のインタミと同様、私と私の周囲では一件も発生していません。997型のオーナーではない人は、ネットの情報をご覧になって心配されているようですが、実際の997型オーナーほど、6番シリンダーのことはまったく気にしていないというのが実情です(笑)」
▲丸型ヘッドライトを筆頭に、クラシックな911のデザイン要素を取り込んで2004年に登場した997型。デビュー当初からクーペやタルガ、カブリオレといった多様なボディ、RRと4WD、そして異なるパワーユニットと多くのグレードを展開した▼検索条件
ポルシェ 911(997型)▼検索条件
ポルシェ 911カブリオレ(997型)ならば「初めてのポルシェ 911」として、亀田さんなら何をオススメするだろうか?
「ティプトロニックの996型カレラですね。ティプトロニックのことを低く見る人もいるかもしれませんが、あれは本当に素晴らしいトランスミッションであり、ポルシェエンジンの魅力を存分に引き出すことができます。そして『ほぼ故障しない』というオマケも付いています。私もこの仕事を長いことしていますが、ティプトロニックが故障したというケースは一度も耳にしたことがありません」
そういえば中古車記者歴約30年の筆者も、「ティプトロニックが壊れた」という話は一度も聞いたことがないし、自身が乗っていたポルシェのティプトロも、走行10万kmを超えても健康そのものだった……。
「でしょう? ティプトロニックとは、そういうトランスミッションなんです。だからまずはティプトロニックの996型911カレラで、ポルシェ 911という車の“中心点”のようなものを体感する。そしてそこから、お好みに応じてステップアップしていく、というのが良いと思っています。もっとも、ティプトロニックの996型カレラは中心点としてのレベルが非常に高いため、もしかしたら、ステップアップの必要性を感じなくなってしまうかもしれませんが(笑)」
▲996、986型などの「6系」と997、987型などの「7系」を専門とするモダンクラシックポルシェ販売店「S-LINE AG」▼検索条件
ポルシェ 911(996型)▼検索条件
ポルシェ 911カブリオレ(996型)▼検索条件
ポルシェ 911(997型)▼検索条件
ポルシェ 911カブリオレ(997型)【関連リンク】
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