アバルト 124スパイダーは“スペックどおりの出来栄え”なロードスター(試乗レポート)
カテゴリー: アバルトの試乗レポート
タグ: アバルト / オープンカー / FR / 124スパイダー / EDGEが効いている
2017/01/05
▲基本プラットフォームをマツダ ロードスターと共有、広島で生産されるFRオープンスポーツ。パワートレーンはFCA製、とりまとめはイタリアのチームが行っている毒のないサソリ味で、ロードスターより上質
チンクやプントでの経験上、アバルト版フィアットというと「毒気にまみれたホットバージョン」、という印象がとても強い。多少バランスは悪いけれども、ひとたびハンドルを握れば、問答無用に乗り手を喜ばせてくれる。ドラテク無用、踏んで曲がって踏んで、が、とにかく楽しい。それがアバルトのイメージだったから、ある意味、よくできた“お利口さんスポーツカー”であるマツダ ロードスターをどれだけ毒々しく仕立ててくれるか、実をいうと楽しみにしていたのだ。
そんな期待はあっさり裏切られてしまった。
確かに、力はある。けれども、のけぞるようなアバルト感に乏しいのだ。素がよくできたスポーツカーだから、フィアットの開発陣もマジメに頑張っちゃった、という感じがする。重いエンジンを積んでもバランスが崩れていない。ちゃんと“ロードスター”の長所を生かしている。ハイパワーなロードスター。つまりは、ロードスターを試乗済みの人にとっては“スペックどおりの出来栄え”なのだった。
(スタイル以外に)大きな違いは、むしろ、実用街中領域における乗り心地の良さか。ちょっと重厚で、そういう意味ではよくできたGT風味、である。高速道路のクルージングでも、しっとり淡々と走ってくれる。普段乗りにはむしろコチラの方が乗りやすいかも、と思った。
もっとも、欲しいと思ったかどうか、と問われると、返答に窮する。やっぱり、アバルト印にはアバルトらしい毒があってほしい。
▲重量物をアクスル間に集中、エンジンをフロントアクスル後方に配置することでドライブフィールを向上。足回りも特別なチューニングが施されている
▲シートを可能なかぎり後方に低く配置。赤い文字盤のタコメーターをメーター部中央に置くなど、スポーティな仕立てに
▲1.4Lマルチエア4気筒ターボを搭載。JC08モード燃費はMTが13.8km/L、ATが12km/L、ノーマルとスポーツ選択できるドライブモードセレクターを標準とした【SPECIFICATIONS】
■グレード:124SPIDER ■乗車定員:2名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1368cc
■最高出力:170/5500[ps/rpm]
■最大トルク:250/2500[n・m/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:6MT
■全長x全幅x全高:4060x1740x1240(mm) ■ホイールベース:2310mm
■車両価格:388.8万円
あわせて読みたい
あの名車は今? その後継モデルたちは……20年という時の流れは車をどう変えたのか。SL、ムルシエラゴ、911…
メルセデスの名車に乗る|W201型からSLS AMGへ。“ネオクラとAMG覚醒”をいま読み解く【カーセンサーEDGE 2026年1月号】
優先すべきはヘリテージか 経済効率? マセラティのモデナ回帰にみるブランドの価値とは【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
R32型 スカイラインGT-Rが50万円から? あの時買っときゃ良かった……のモデルを振り返り“後悔を楽しむ”
マツダ ロードスター12Rの抽選に外れて絶望している人必見! 代わりにコレ、どうですか? 5選
“いまは”日本未導入のGAC(広州汽車集団)AION Y Plusに試乗してきた!
プロショップで聞いた600万円前後で狙える初代 ポルシェ マカンのリアル! 狙うは前期型の高性能グレードか? それとも後期型のベーシックグレードか?
600万円台で買えるアストンマーティンはアリか? プロフェッショナルに聞いてきた真実!
「20年後も残る車、消える車」とは? 創刊20年を機に真剣に考えてみた【カーセンサーEDGE 2025年12月号】
“日本の誇り” 日産 R35 GT-Rは果たしてスーパーカーなのか?【スーパーカーにまつわる不思議を考える】









