ロマンティックが止まらない! 世界に1台、RE雨宮製ロードスター
2018/05/16
車は単なる移動の道具ではなく、大切な人たちとの時間や自分の可能性を広げ、人生をより豊かにしてくれるもの。車の数だけ、車を囲むオーナーのドラマも存在する。この連載では、そんなオーナーたちが過ごす愛車との時間をご紹介。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
▲黒木家には車が3台。ロードスター改をはじめ、RX-8、AZ-1とすべてマツダ車というマツダフリークの一家だ。黒木さんのお父さまがファミリアを乗り継いできた影響で、黒木さんも自然とマツダファンとなり、ロードスターだけで3台目というコッテコテのマツダファン!“個性的”レベルを超えたスペシャルな1台
「世界にひとつだけの……」というフレーズで有名な曲があるが、人はそれぞれ見た目や性格が違う“個性”というものがあり、それが素敵なのだという意味の曲と勝手に理解している。
一方、愛車と呼ばれる車たちも間違いなく「世界にひとつだけの車」であり、はたからは同じように見えても1台1台に大なり小なり違いがある。特に人とは違う個性的な車を求める人の多くは“希少車”や“カスタマイズ”を求めることが多い。
今回お会いした黒木さんの愛車は「個性的な」というより、むしろカスタマイズによって車種の枠すら超えてしまったスペシャルな1台、聞けば聞くほどロマンティックなまさに世界にたったひとつだけの車だった。
ん? なんだ!? 見たことないあの車は……
▲黒木さんの愛車はマツダ ロードスター(2代目)と聞いていたのだが、さっそうと登場した車は一瞬ポルシェに見え、そのエンジン音はどこかで聞き覚えあるが、間違いなくロードスターのものではない。真横のシルエットはロードスターのようだが、後方から見るとまた何の車がわからなくなる、鮮やかな水色に水玉の模様が施された“超個性的”な車だった「小中学生たちが“へんてこなポルシェ”と呼んでいるのを聞いたことがあります(笑)」と黒木さんは笑うが、この車は一体……。
「有名なチューニングショップのRE雨宮が制作したデモカーなんです」
確かに車体側面には“RE雨宮”のステッカーが貼ってある。聞けば、ベース車両は2代目ロードスター(NB型)だが、ボンネットの中にはRX-8のロータリーエンジンが収められており、外装や塗装はもちろん内装まで丁寧に手が加えられているRE雨宮製のデモカーなんだそうだ。
時は2015年のオートサロン。“マツダ好き”な黒木さんはRE雨宮から出品されていたこの車に一目ぼれしてしまった。必ずいつか売りに出されると思い、雨宮さんのHPをチェックしていたそう。
そして一昨年、ふと雨宮さんのブログにアップされた写真奥に、この車が写っていたのを発見したのだ。
欲しいのに即決できない。いや、欲しすぎたが故に即決できないのか
黒木さんは、その車のフロントガラスにプライスボードらしきものが映りこんでいるのを見逃さなかった。速攻で電話をして売り出されていることを確認するやいなや、その週末にショップへ訪問。
ただ価格を聞いても即決ができなかった。次の週末も訪問し試乗までさせてもらったが、まだ決められない。前から憧れていた1台。欲しいからわざわざ会いに行くのにいざとなると即決できない。
この心情、わかる気がする。
例えば、憧れの異性と付き合える最大のチャンスが到来しているのに……。いや、心の準備なく突然チャンスがやって来てしまったが故に、フリーズしてしまうという状況と似ているかもしれない。
それほどまでに黒木さんにとっては“特別”な車だったということだろう。
さすが“特別”な車!? 手に入れて1年半の内、約10ヵ月はドックイン……
結局、黒木さんはプライシングされていた価格に納得して購入。
冷静に考えると、ベースとなるロードスター(2代目)を買って、さらにここまでチューニング&カスタマイズしたら、絶対にこの価格には収まらないと考えたから。
つまり黒木さんにとっては、超お買い得と言える1台だったのだ。
まず、契約から納車まで約3ヵ月を要した。その後エアコンなどの不具合があり工場へ入庫したが、もろもろの修理を終えて手元に戻るまでに数ヵ月かかったとのこと。それでも黒木さんは、特別な車だから仕方ない、と笑って話す。
この手の車を所有する人の寛容さに驚くとともに、待っているその時間すら何か楽しんでいるように見える。
車が戻ってきた今、黒木さんはいつかこのロードスターで北海道を走ってみたいと言う。
軽い車体に高回転までスムーズに吹き上がるロータリーエンジン。そんなオンリーワンな車で格別な時間を過ごしたいという黒木さんの夢の実現は、まさにこれから始まろうとしている。
ただ、水色の車体を眺めながら黒木さんはこうつぶやく。
「ずっと長くは所有できない車だと思うんですよ、自分には。もし手放す時が来たら、お金をかけて加修しながらこの状態を維持してくれる人に譲りたい」
むむむ……。愛車を前に何とも切ない話である。
修理を待っている時間はもう十分楽しんだ。後は、いつか来る別れの時まで、一緒に過ごす時間を全力で楽しんでもらいたい。
▲エンジンルームにきれいに収まるRX-8のロータリーエンジン。エンジン自体には大掛かりなチューニングは施されていないと言うが、チューニングカーならではの機械的な美しさがある
▲ロータリーはエンジンオイルも少しずつ燃やしているとのことで、オイル残量のチェックも欠かせない
▲週末しか車を運転する時間がない黒木さんだが、休日には必ずエンジンに火を入れてあげるようにしているというどんなクルマと、どんな時間を?
マツダ ロードスター改は世界に1台だけの車
ベースとなっているマツダ ロードスター(2代目)は、世界的に人気を博した初代を継いで登場した。リトラクタブルライトは廃止したが、ライトウェイトオープンのコンセプトは変更せず、排気量は初代同様1.6L、1.8Lの2タイプを用意。この代では限定販売モデルのクーペタイプも含め様々なグレード展開がされ、ラインナップの幅を広げた。
黒木さんの愛車はこの2代目をベースにコンパクトでハイパワーなRX-8のロータリーエンジンを搭載。それに伴い機関系や内外装もRE雨宮のオリジナルに変更された、世界に1台だけの車だ。もちろん構造変更の手続きがされた公道を走れる仕様となっている。
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