THE!対決

PART4軽ハイトワゴンとして優れているのは?

Report/島崎七生人 Photo/小林岳夫
スズキ ワゴンR
スズキ ワゴンR フロントマスク|THE!対決
↑外観はコンサバだが、煩雑なディテールを廃し、シンプルにまとめたデザインは好感がもてた。スポーティなフロントのイメージどおりの安定感のある走りっぷりは、ファーストカーとしても通用する
スズキ ワゴンR 室内収納|THE!対決 スズキ ワゴンR 後席スライド|THE!対決 スズキ ワゴンR 後方視界|THE!対決
ダイハツ ムーヴコンテ
ダイハツ ムーヴコンテ フロントマスク|THE!対決
↑走りの面で、やや粗い乗り味が気になるが、肩の力が抜けたカジュアルで心地良い系の車。電動パワーシート付きのソファのようなシートに象徴される癒し系のキャラクターは、チャーミングではある
ダイハツ ムーヴコンテ 室内収納|THE!対決 ダイハツ ムーヴコンテ 電動パワーシートスイッチ|THE!対決 ダイハツ ムーヴコンテ 後方視界|THE!対決

ファーストカーとして立派に通用する新型ワゴンR

何しろワゴンRは、日本一売れている車である。
だから新型への一新も、失敗は絶対に許されなかったはずだ。確かに外観だけ見ると、新型ワゴンRは手堅いというか、コンサバだ。同車の目印でもあったリアクォーターウインドウが消滅したせいか、他車とのスタイリング上の差異も少なくなった。

が、煩雑なディテールを廃し、シンプルにまとめた外観は、見ているうちに好感がもてた。ウエッジは功罪両方だが、低くスポーティに見えるフロントと、背が高いが決してヒョロッと頼りなくは見えないリアのバランスが、新型ワゴンRのスタイルの味だろう。シンプルで道具的な持ち味は従来どおりだが、プレーンさにモダンな味わいも加わった気がする。

そう好感をもちながら試乗して、目からウロコが落ちた。走りのリポートにも記したように、新型ワゴンRの安定感のある走りっぷりは、これまでのどのスズキの軽自動車をも上回る実力。スイフトがいらないのでは…とさえ思うほどの実力である。

これまでのスズキの軽自動車というと、とくに走りの面に“軽自動車だから”の割り切りが感じられた。それは近所の八百屋に買い物に行くならともかく、それ以上の遠出をする気にならないものだった。が、新型ワゴンRの逞しい走りっぷりに触れて、今度のワゴンRならファーストカーとしても立派に通用すると実感できた。

肩の力が抜けたカジュアルで心地良い系のムーヴコンテ

対してムーヴコンテは、カクカク…の例の振るったCMが表すとおり、やや肩のチカラが抜けた車だ。カジュアルで心地良い系であるのは確かで、ソファのようなシート(電動パワーシート付きだ!)に象徴される、癒し系のキャラクターは、確かにチャーミングではある。

が、走りの面で、乗り味がやや粗いのが気になるところ。まさかキャラクターに合わせて走りのチューニングも肩のチカラが抜けたのではなかろうが、現状では、あと一歩、乗り味や静粛性にもこだわってほしいところだ。このところ軽自動車メーカーの両雄、ダイハツとスズキは、車種を増やすことに躍起。それは歓迎だけれど、アラの目立つ車を乱発してほしくはない、と思う。

かつて実用&機能重視だったワゴンRやムーヴは、今やタントなど、さらに背の高い極限の実用性を手に入れた車に、かつてのポジションを明け渡した。となると、そこそこの高い実用性を踏まえながら、パーソナルカーとしての価値を高めていくのが、ワゴンRやムーヴコンテといった車の方向性なのだろう。

そう考えたとき、何をおいても安心感の高い走りっぷりをモノにした新型ワゴンRは、軽自動車というより、コンパクトなパーソナルカーとして、非常に魅力のある存在へと進化したと思う。
今回のまとめ
総合的に見ると、軽自動車としての魅力は保ちながらも、ファーストカーとしても使える車へと進化したワゴンRの勝ちと言える。なおスポーティなスティングレーも今回は最初から用意されるが、乗り味、走りの性能面でノーマルのNA系も大いに魅力を感じる。
今回のテスト車両
スズキ ワゴンR フロント|THE!対決
スズキ ワゴンR リア|THE!対決
スズキ ワゴンR インパネ|THE!対決
スズキ ワゴンR
テスト車両 FXリミテッド
118.125万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3395×1475×1660
ホイールベース(mm) 2400
車両重量(kg) 850
最小回転半径(m) 4.4
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 658
最高出力
[kW(ps)/rpm]
40(54)/6500
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
63(6.4)/3500
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 30L
10・15モード燃費
(km/L)
現在調査中
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
10.2
タイヤサイズ 155/65R14
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
ダイハツ ムーヴコンテ フロント|THE!対決
ダイハツ ムーヴコンテ リア|THE!対決
ダイハツ ムーヴコンテ インパネ|THE!対決
ダイハツ ムーヴコンテ
テスト車両 Xリミテッド
128.1万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3395×1475×1645
ホイールベース(mm) 2490
車両重量(kg) 850
最小回転半径(m) 4.5
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 658
最高出力
[kW(ps)/rpm]
43(58)/7200
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
65(6.6)/4000
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 36L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 155/65R14
※実用燃費のデータはe燃費の提供です