【オンリーワンを探せ】ミニマリズムを追及したダットサン サニー
2013/10/22
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年10月15日に発見したのは「ダットサン サニー」です。ちょっとややこしいですが、正確には「日産ダットサン サニー 2ドアセダン」です。高度経済成長期における日産のベーシックなセダンとして不動の地位を築きました。デビュー前に車名募集のキャンペーンをやったのですが、なんと約800万通もの応募があったそうです。
最近、各国でコンパクトな「リッターカー」がはやっていますが、サニーを見るとコンセプト自体は40年以上前からあったように感じます。サニーは“必要最低限”を凝縮したような車で、徹底した軽量化の結果、車両重量は645㎏しかありません。
エンジンは988ccの4気筒エンジンで、最高出力56ps。今の1Lエンジンの水準からすれば非力に聞こえますが軽いボディには十分です。エンジンがキュンキュン回るハイカム仕様で、チューニングカーのベースとしての高いポテンシャルが評判でした。
驚かされるのは、23㎞/Lという燃費性能(日産の公式データで計測方法は不明)。最近のリッターカーでは当たり前になりましたが、40年以上も前の車ですから凄いことです。そのほかカタログを見ると「0→400m加速19.6秒」や「最高時速135km/h」などと記載されています。ベーシックカーにもかかわらず、日本人がいかに“スペック好き”か思い知らされます(笑)。
また、クラス初となる3速ATの搭載も注目されました。ATをラインナップしただけでビッグニュースになるのも、40年以上も前の話だからですよね。もちろん、性能は現在のATとは比ぶべくもありません。ちなみに、当該車両はコラムシフト式3速MTで、フロアシフト式4速MTもありました。
写真を見る限り当該車両、特段レストアされたようには見えません。ボディに傷やヘコみがあり、ドライバーシートには破れがあります。でも新車登録時から45年もたっている事実を鑑みれば、程度良好と言っていいでしょう。クラシックカーライフの相棒として、コツコツ直して乗ることを前提にすべき車です。
「わび・さび」さえも感じさせてくれそうなミニマリズムを追求したサニー。めったに見かけませんから強烈な個性を放つこと間違いありません。
Text/古賀貴司(自動車王国)
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