【オンリーワンを探せ】陸上自衛隊用高機動車の民生機、トヨタ メガクルーザー
2014/06/16
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2014年6月10日に発見したのは「トヨタ メガクルーザー」です。陸上自衛隊に高機動車として納品されていた車両の民生機で、今振り返ってみても「よくぞ市販した!」と言わざるを得ない逸品です。
災害時の救援や人命救助を見据えた、飾りっ気ない高機動車
ルックスはハマー(H1)に似ていることから「和製ハマー」と呼ばれましたが、決してマネしたからではありません。陸上自衛隊が要求するスペック(アプローチアングルや最低地上高など)に応え、いわゆる“軍用車”を開発すると必然的にこういうルックスになるのでしょう。
陸上自衛隊が必要としたのは普通科歩兵1個班の移動用車両で、装甲車の類ではありません。その民生機であるメガクルーザーもSUVとして投入されたのではなく、災害時の救援や人命救助、学術研究などが主眼でした。納車先は消防や警察、自治体をはじめとした公共団体で、一般ユーザーが購入することはごく稀だったようです。
メガクルーザーはその名のとおり巨漢で、どんな道でも走ってしまうハードコアなやつです。デフロックはもちろん、最低地上高が42cmも確保されていること、50cmの障害物を乗り越えるアプローチアングル、リアにはトラクション確保のためにタイヤの空気圧を調整する機構(車内からボタン操作)なども備えています。
エアコンとパワーステアリング、かろうじてオーディオは付いてはいますが質素というか、シンプルというか、飾りっ気ないインテリアに驚かされます。少量生産で本物の高機動車ゆえにやむを得ない値付けだったんでしょうが、新車時価格は962万円もしました。
驚かされるのは当該中古車のリセールバリューです。18年落ちの中古車で約100万円(新車時価格の約1割)しか値落ちしていません。まぁ、流通量が少ない中で本当に欲しい人がこっそり狙っている、という状況がこの値付けの原因でしょう。
写真を見る限り、18年落ちとは思えないほど綺麗な状態です。シートやインテリアもヤレは見受けられませんし、足回りもガンガン使われた形跡はありませんでした。前オーナーが大切に扱ってきたことが、写真からも伝わってきます。
とにかく珍しい車ですし、古くても並大抵のクロカンでは歯が立たない悪路走破性の持ち主です。400km/h出るスーパーカーを買うように、メガクルーザーを買うことは“能ある鷹”を保有する喜びなのです。
Text/古賀貴司(自動車王国)
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