▲1999年から2003年まで販売された軽自動車、ダイハツ ネイキッド。車名のとおり、ネイキッドなデザインが非常に印象的な1台だった ▲1999年から2003年まで販売された軽自動車、ダイハツ ネイキッド。車名のとおり、ネイキッドなデザインが非常に印象的な1台だった

ミニ クラブマンもいいが、釣り車として使うにはやや高額?

再三申し上げている「釣り車の条件」とは(正確にいうと「ビギナー系釣り車の条件」とは)、「適度にボロいこと」と「まずまず安価なこと」、そして「サイズ的にもキャラ的にも中庸であること」だ。それに加えて燃費が良くて走りも良くて、そんでもって積載性に優れ、なおかつちょっとオシャレな感じであれば申し分ない。

が、最後の「ちょっとオシャレな感じ」ということに関連して過日ミニ クラブマンを推奨したわけだが、今さらながらそれはややうかつな提案だったかも……と思うに至った。なぜならば、ミニ クラブマンの中古車は「まずまず安価なこと」という条件に当てはまらない可能性もあるからだ。

▲ミニのリアスペースを延長させた「ミニ クラブマン」。ことおしゃれっぷりに関しては最強だが、ボリュームゾーンが約150万~200万円となる中古車相場は、使い倒す車としてはいかがなものか ▲ミニのリアスペースを延長させた「ミニ クラブマン」。ことおしゃれっぷりに関しては最強だが、ボリュームゾーンが約150万~200万円(2015年4月4日現在)となる中古車は、使い倒す車としてはいかがなものか

モノの値段を高いの安いのというのに絶対的な基準は存在しないが、ミニ クラブマンの約150万~200万円というボリュームゾーンは、冷静に考えて「激安」とは言いがたい。せいぜい「リーズナブル」という感じか。いずれにせよ、どうせならもっと条件にビシッと、何というかこう完璧に合致する車種を提案したいものだ。

なんてことをツラツラ考えているうちに、日本の自動車史、特に軽自動車のヒストリーの中で割と重要な位置を占めるモデルの存在を唐突に思い出した。

ダイハツ ネイキッドである。

▲すべてがむき出しであるため、なんとなく軍用車テイストなネイキッド。でもそこがいいんです! ▲すべてがむき出しであるため、なんとなく軍用車テイストなネイキッド。でもそこがいいんです!

ネイキッドならミニ クラブマンの半値か1/3ぐらいの予算で狙える

なぜ、わたしはコレのことを忘れていたのだ。ネイキッドの中古車こそ、「適度にボロくて」「安価で」そして「ちょっとオシャレな感じ」という条件をほぼ完璧に満たす選択ではないか! まぁ軽自動車なので「サイズ的に中庸」という条件は満たすことができないわけだが、それはそれとして。

多くの人にとって今さらな話だろうが、ダイハツ ネイキッドとは1999年11月から2003年11月まで販売された、ちょっと変わった軽自動車。「ちょっと変わった」といってもボディ形状はごく普通の4ドアハッチバックであり、採用されたメカニズムもごく一般的なもの。ちょっと変わっているのは、そのビジュアルだ。

「ネイキッド」(英語で「裸の」「むき出しの」などの意味)という車名どおり、むき出しの素材感をデザイン上のテーマとしていた。90度近い開角を持つドアもむき出し、バンパーやフロントグリルもボルトで止めただけのむき出し、ピラーもむき出し、ついでに鉄チンホイールもあえてむき出し……と、とにかくすべてがネイキッドで、そしてそれがたまらなくステキなデザインに昇華された1台だったのだ。

筆者の自宅近所でこれに乗っていらっしゃるご家族がいるのだが、お見かけするたびに、そのおしゃれっぷりに脱帽している。そもそもは1997年の第32回東京モーターショーに参考出品された車だが、あれから18年が経過した今もなお、ネイキッドは下手な最新ヨーロッパ車では太刀打ちできないほどのおしゃれ的地平にいる。素晴らしいとしか言いようがない。

▲古ぼけた写真で恐縮ですが、こちらがネイキッドの内装。道具っぽいデザインがステキ ▲古ぼけた写真で恐縮ですが、こちらがネイキッドの内装。道具っぽいデザインがステキ

が、そんなネイキッドも今や古い車であるため、その中古車価格はお手頃だ。具体的にはボリュームゾーンが20万円から50万円で、かなり条件の良い物件を選ぶ場合でも50万~70万円といったところ。ミニ クラブマンの半値か1/3ぐらいの予算で買えてしまうのである。

もちろん古くて安い車ゆえ、最新の軽自動車と比べれば動的性能や燃費性能は劣る。それゆえ、あなたが自宅から遠いポイントまでの遠征を繰り返すタイプのアングラーであるなら、あまりオススメはしない。その場合はハスラーなどの新世代軽自動車か、何らかの普通車を釣り車にした方がいいだろう。

だが、もしもあなたが比較的近場のポイントへと日参する、大型かつ大量のタックルは使わないタイプのアングラーなら、ネイキッドでも十分である可能性は高いのだ。特に、ターボ装着車であれば高速道路や峠道でもかったるさはほとんどなく、10・15モード燃費もおおむね16.4~18.8km/Lはマークしている。もちろん最新軽自動車のリッター30km超となる燃費性能とは比べるべくもないが、その分車両価格が安いので、総合的な出費でみればネイキッドの方が経済的だともいえる。

が、「そんな古い車は故障が心配だよ!」という声もあるだろう。その気持ちはわからなくもない。なにせ、最終年式でも12年落ちとなる車ですから。その場合は最終年式に近い、整備履歴のハッキリした個体で、なおかつ「カーセンサーアフター保証」が付帯している、ないし付帯できるネイキッドを選ぶことをオススメしたい。

ご存じの方も多いと思うが、アフター保証というのはなかなかどうして優秀な中古車保証で、加入の仕方にもよるが最長3年間、業界最多水準といえる保証範囲をカバーしてくれる。それであればネイキッドでも、かなり安心しながら釣行に専念することができるだろう。

ということで“近場スペシャル”としてのダイハツ ネイキッド。気になる釣り人は、ぜひ。

text/伊達軍曹