▲値が張る新車に長く乗るのもステキだが、100万円ぐらいで買える輸入中古車を次々と捕獲し、記憶のなかにコレクションしていくのも、まるでポケモンGOをやっているかのようで結構ステキなんですよ! ▲値が張る新車に長く乗るのもステキだが、100万円ぐらいで買える輸入中古車を次々と捕獲し、記憶のなかにコレクションしていくのも、まるでポケモンGOをやっているかのようで結構ステキなんですよ!

ポケモンGOを始めてあらためて気づいた輸入中古車の魅力

輸入中古車評論家を自称するわたしだが、周囲からは「中古の輸入車ってのはお買い得そうに見えて実は非経済的。それよりも故障しづらくて保証もフルに付いてる新車を乗り継いでいく方が、お金の面では断然有利だよ」と、しばしば言われる。

要するに「中古のガイシャなんて買ってバカじゃねーの?」という話だが、愛好家たる筆者からしても、その批判には一理あると認めざるを得ない。「コストだけを考えるなら、人気色の人気モデルを新車で買うのがいちばんかもね……」と、故障修理のため訪れた専門工場の待合室で、缶コーヒーをちびちび飲みながら思うことはしばしばだ。

「でもまあいっか。本人的には十分楽しいんだから」と心底思えるのは、スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」の影響だろうか。

当初は静観していたポケモンGOだったが、物は試しでやってみると、これがなかなか面白い。各ポケモンを集めること自体が、特にレアキャラを見つけてコレクションしていく行為が、非常に楽しいのだ。この快感はおそらく人間の何らかの本能に根ざしているのだろう(よう知りませんが)。

ポケモンをたくさん集めたところで一銭にもならず、残念ながら特にモテるというわけでもなく、そしてそのうち飽きるのかもしれない。しかし今は「なるべくレアなキャラを捕獲したい!」「できればコンプリートしたい!」という気持ちでいっぱいの筆者(48歳・男)である。

そしてこの感覚は、中古輸入車の愛好生活にもどこか似ている。

▲8月25日時点ではまだ「レベル19」ということで大したレアキャラを捕獲しているわけではないが、ちょっとずつコレクションしていくこの感覚が、48歳の中年男にとってもなかなか楽しいのである ▲8月25日時点ではまだ「レベル19」ということで大したレアキャラを捕獲しているわけではないが、ちょっとずつコレクションしていくこの感覚が、48歳の中年男にとってもなかなか楽しいのである

中古なら数多くの車種を捕獲できる=人生の経験値がUPする

うなるほどのお金を持っている人は別として、普通は新車の輸入車などそうそう頻繁に買い替えられるものではない。つまり、限られた人生時間のなかでそう多くの種類を「捕獲」できるわけではないということだ。人にもよるだろうが、35歳から65歳までの30年間に「5年に1回」のペースで輸入新車を買い替えたとして、捕獲できる「キャラ」はトータル7種類(7台)だ。

しかし中古車の場合は、特に100万円程度で買えるような輸入中古車の場合はどうだろうか? そういった価格帯の輸入中古車であれば、例えば筆者のような普通人であっても1~2年に1回ぐらいのペースで買い替えることが十分可能なため、様々な「レアキャラ」を数多く「捕獲」できるわけだ。そして人生のXP(経験値)を上げることができるのだ。

実際この10年間で筆者が「捕獲」したレアキャラは、ポルシェ 911に始まりランチア デルタ HFインテグラーレ、シトロエン 2CV、アルファロメオ GTV、メルセデス・ベンツ SLK、ルノー メガーヌ R.S.、ルノー カングー、マツダ 初代ロードスター等々々々、正確に思い出すのが面倒くさいほど多岐多数にわたる。どれもそれなりにお安い中古車だったが、どれも非常に素晴らしい経験を筆者にもたらしてくれた。本当に感謝している。

とはいえ、こういった中古車というのは整備・修理の必要もそれなりにあり、そしてリセール価格が特別高いということも残念ながらないため、「経済合理的じゃない」と批判されたなら、基本的には返す言葉もない。だがそれらを「捕獲」して「進化」させたり「強化」させたり、そして様々なレアキャラを(記憶のなかに)コレクションできるということのステキな価値を考えると、あながち「非経済的」と切って捨てることはできないと思っている。

▲筆者が数年前まで乗っていたランチア デルタ HFインテグラーレEVO.II。これの購入と売却を通じて金銭的に得をしたということはなく、むしろ出費が大だったが、間違いなく良い経験になった ▲筆者が数年前まで乗っていたランチア デルタ HFインテグラーレEVO.II。これの購入と売却を通じて金銭的に得をしたということはなく、むしろ出費が大だったが、間違いなく良い経験になった

例えばこんな車種を「捕獲」してみると楽しいかも?

さて。そのような考え方に基づき、もしもあなたが「トレーナー」として100万円級レア輸入車探しの旅に出るとしたら、まず最初に「捕獲」すべき1台は何だろうか? ……これはもう「お好みに応じて」としか言いようがない話だが、おせっかいを承知で助言させていただくとすれば、さしあたって今は以下のモデルあたりが面白いのではないかと思う。

例えばプジョー 306カブリオレ。

▲94年8月から02年7月まで販売された、プジョー 306をベースとする4シーターオープン。現在の中古車相場は60万~110万円といったところで、ここのところ流通量はかなり少なめとなっている ▲94年8月から02年7月まで販売された、プジョー 306をベースとする4シーターオープン。現在の中古車相場は60万~110万円といったところで、ここのところ流通量はかなり少なめとなっている

ちょっとドイツ車風になったようにも感じられる昨今のプジョー車とは異なる世界観の、全体として柔らかなテイストを備えた4座オープンだ。以前と比べると流通量は減少気味で、コンディション良好なモノとなるとさらにレアかもしれない。だがそれを探し出す旅路もいとをかしである。そして首尾よく「当たり」が見つかったときの「飛距離」はかなりデカいだろう。

また例えばシトロエン 2CVあるいはルノー 4。

 

▲もともとはフランスの農民向けに作られたシトロエン 2CV。大したスピードは当然出ないが、現代の高速道路や幹線道路でもごく普通に乗ることはできる。中古車相場は90万~200万円付近 ▲もともとはフランスの農民向けに作られたシトロエン 2CV。大したスピードは当然出ないが、現代の高速道路や幹線道路でもごく普通に乗ることはできる。中古車相場は90万~200万円付近
▲こちらはルノー 4。シトロエン 2CVを徹底的に研究して開発された小型FF乗用車で、61年から92年の長きにわたり製造販売された。現在の中古車相場はおおむね50万~120万円 ▲こちらはルノー 4。シトロエン 2CVを徹底的に研究して開発された小型FF乗用車で、61年から92年の長きにわたり製造販売された。現在の中古車相場はおおむね50万~120万円

「こうもり傘に4つの車輪を付けた感じ」という基本コンセプトで知られるシトロエン 2CVに乗れば、そのシンプル極まりない作りを通じて「自動車の根本」「移動する歓びの本質」みたいなモノをビシビシと感じ取ることができる。エアコンなど当然付いてないので夏場はキツいが、秋から春にかけては最高すぎるほど最高だ。

2CVと比べれば(これでも)グッと現代的なルノー 4だと、こと「プリミティブな歓び」に関してはやや薄いかもしれない。しかしこの車もまたシンプルな面白味に満ちていることは間違いない。そしてクーラー/エアコン付きの物件もなくはないので、比較的フツーに乗れる旧車でもある。

もう少しフォーマルというかシックな感じがお好みなら、ボルボ 初代C70カブリオレはどうか?

 

▲01年9月から06年11月まで販売された、いわゆるDセグメントの4シーターオープン。独自の横転時保護システムなども採用されている。中古車相場は40万~180万円と上下に幅広い ▲01年9月から06年11月まで販売された、いわゆるDセグメントの4シーターオープン。独自の横転時保護システムなども採用されている。中古車相場は40万~180万円と上下に幅広い

初代C70をベースに作られたフル4シーターのカブリオレであり、エンジンは前期型が2.4Lの直5DOHC+低圧ターボで、04年7月からの後期型は2.3L DOHC+ハイプレッシャーターボ。しかしそれより何より、素晴らしいのはこのシックすぎるほどシックなたたずまいだ。こちらもプジョー306カブリオレ同様に流通量は少なめだが、もしも良コンディションな1台を見つけ出せたときの衝撃は、ひたすら激しいものとなるだろう。

もちろん、ここで挙げた3種類以外にも数多くの「捕獲対象」が存在する、レアでお手頃な輸入中古車の世界。ポケモンGOと一緒で、それを捕獲したからといって一銭にもならないわけだが(というか車の場合はむしろお金が出ていく)、コンプリートを目指す道程で得られる経験値と歓びは果てしなくデカい。それゆえもしも多少なりともご興味があるのであれば、ぜひ一度お試しを……!

 

text/伊達軍曹
photo/伊達軍曹、プジョー・シトロエン、ルノー、ボルボ