「V8エンジン搭載車」で打線を組んでみた|下位打線に座る国産2モデルがカギを握る!
カテゴリー: クルマ
タグ: スポーツセダン / クーペ / センチュリー / フーガ / IS F / F355 / プラウディア / ミディアムクラス / Cクラス / XKクーペ / コルベット / 打線を組んでみた / 伊達軍曹
2019/05/07
▲最近めっきり少なくなってきた「V型8気筒エンジン」を搭載する車。それってちょっと寂しいぞ! ということで、V8搭載モデルのみがひたすら長打を連発する強力打線を組んでみました!毎年5月8日は「V8エンジンの日」!
日本自動車エンジン連合会は先月16日、「毎年5月8日はV8エンジンの日である」との声明を発表。同日、一般社団法人日本記念日協会への届出を完了した。
というのは真っ赤なウソで、日本記念日協会は実在するものの、「日本自動車エンジン連合会」などという会は存在しない。
とはいえアラビア数字の「5」はローマ数字で表すと「V」。ならば今後、5月8日が「V8エンジンの日」に制定される可能性は決してゼロではない。
そこで(いや「そこで!」と力むほどの話ではないのだが)今回は「V8エンジン搭載車」に絞った打線を組んでみたい。
ではさっそく発表しよう!
1 中 レクサス IS F(初代)
2 左 フェラーリ F355(初代)
3 右 ジャガー XKクーペ(2代目)
4 一 トヨタ センチュリー(現行)
5 遊 メルセデス・ベンツ 500E(W124型)
6 ニ シボレー コルベット(6代目)
7 三 三菱 プラウディア(初代)
8 捕 日産 フーガ(初代)
9 投 メルセデスAMG C63(初代)
……今、場内から「なんだよ! ちょっと前の読〇ジャイアンツみたいな大砲ばっかの打線じゃねえか!」とのヤジが聴こえた気もするが、聴こえなかったことにして、各選手の紹介へと移ろう。
▲パワーと機動力を兼ね備えた超重量級打線の完成!1番・センター「レクサス IS F(初代)」
▲初代レクサス ISをベースに作られたV8搭載モデル、レクサス IS F大砲揃いとなるこのチームで「切り込み隊長」に任命されたのは、比較的スリムな体躯をもつ俊足巧打のIS F選手。
初代レクサスISをベースとするプレミアムスポーツセダンで、搭載エンジンは最高出力423psを発生する5L V8の「2UR-GSE」。
ちなみにIS Fの「F」は、トヨタのホームサーキットである「富士スピードウェイ」の頭文字からきている。
新車価格は700万円台後半(※時期によって微妙に異なる)だったが、現在の中古車相場は約150万~約600万円と上下に幅広い。が、まずまず好条件な狙い目物件が集中しているのは230万~300万円付近だ。
「8-Speed Sport Direct Shift」は当時世界最速レベルの変速レスポンスで、ブレーキも前が6ポッド、後ろが2ポッドという強力なブレンボ製モノブロックキャリパーを採用。
猛烈なダッシュ力とストッピングパワーを自在に生かして次々と塁を陥れていくIS Fは、まさに「三河のスプリンター」だ。
2番・レフト「フェラーリ F355(初代)」
▲超高回転型の3.5L V8を車体中央にマウントするフェラーリ F355大排気量V8エンジン搭載車のみで構成されるこのチームに「小技が上手い選手」はいない。そして現代野球のトレンドも、2番打者には「打力」を求めている。
ならばもうとことんイケイケ路線で行くしかない。2番打者はこの人、V8フェラーリの超人気モデルだ。
1994年から1999年まで販売されたミッドシップレイアウトのV8搭載モデルで、縦置き搭載されるエンジンは3.5LのV型8気筒自然吸気DOHC。
その最高出力は380psということで、最新世代のスーパーカー各車と比べれば見劣りはする。
だが鍛造アルミ製ピストンやチタン製コンロッドなどの採用により超高回転型となったそのエンジンの甲高い音色は、まさに唯一無二の快音。音質的にはいまだ世界最強レベルだ。
絶版となって久しい今も相場は上がり続けており、ボリュームゾーンは車両1000万円前後だが、低走行物件に関しては1500万円オーバーとなる場合もしばしば。
送りバント(大渋滞時の走行)は得意としないが、そもそもそんなモノをこの選手に求めるのはナンセンス。1番打者であるIS F選手とのアベック長打を期待したい。
3番・ライト「ジャガー XKクーペ(2代目)」
▲スポーツカーメーカーとしてのジャガーの伝統を受け継いで登場したXKクーペ。4.2LのV8を搭載本当なら2014年シーズンに1軍デビューを果たした「ジャガー FタイプR クーペ」選手をクリーンナップの先頭に置きたいところ。
だが同選手の年俸(中古車相場)は庶民派を自認する当球団とはややマッチしないということで、先代に相当するXKクーペ選手を起用した。
2006年から2015年まで販売された当時のジャガーのフラッグシップクーペで、搭載エンジンは4.2LのV8 DOHCである「AJ-V8」。
その最高出力は304psとやや控えめだが、フルアルミボディゆえ車両重量はクラス最軽量レベルとなっている。
現在の中古車相場はおおむね330万~820万円と上下にかなり幅広いが、ボリュームゾーンは380万円前後といったところだ。
前述のV8エンジンと軽量ボディ、そして排気音をコントロールする「セミアクティブエクゾーストシステム」により強烈な打力を披露する選手ではあるが、歩行者との衝突時に人体への損傷を軽減させる「デプロイアブルボンネットシステム」を採用するなど、人にやさしい選手でもある。
練習場では必ず最後までファンの求めに応じてサインを書いてる選手……みたいな感じだろうか(ちょっと違うか)。
4番・ファースト「トヨタ センチュリー(現行)」
▲2018年登場の現行トヨタ センチュリー。V8エンジン+強力な電気モーターという組み合わせ誰が主軸を担ってもおかしくないこのチームで、栄えある4番打者に指名されたのは、日本の政財界と官公庁が誇る最高級サルーンだった。
1997年から2017年まで販売された2代目センチュリーは国産乗用車唯一のV12エンジンを搭載していたが、2018年発売の現行3代目は、最高出力381psの5L V8エンジン(2UR-FSE)+224psの電動モーターという怒涛のハイブリッドシステムに変更された。
「神威(かむい)」と名づけられた漆黒の新色は、7層の塗装に研ぎと磨きを加えて奥深いツヤを追求。
漆塗りの技法も参考に、塗膜を重ねる工程中に水研ぎを3回実施し、最後にバフ研磨による鏡面仕上げを行っている。
中古車の流通は2019年4月末現在ほとんど無いに等しいが、1台だけ販売されていた車両の価格は約2200万円。ちなみに新車価格は1960万円である。
日本を代表するどころか世界でもトップクラスといえそうな風格と打力により、チームとしては4番に置く以外の選択肢は考えられない。
ただ、あまりにも風格がありすぎて「ほぼ毎打席、申告敬遠されてしまうのでは?」との懸念はあるのだが。
5番・ショート「メルセデス・ベンツ 500E(W124型)」
▲比較的コンパクトな4世代前のメルセデス・ベンツ Eクラスに5L V8を搭載したモンスターセダン、500E。写真はモデル末期に登場した「E500リミテッド」カーマニアは「W124」と呼ぶ4世代前のメルセデス・ベンツ Eクラスは、3L級の直列6気筒エンジンを基本としていた。
だがそこに1991年、突如として最高出力330psの5L V8 DOHCエンジン「M119」を搭載して現れたのが、この500Eだ。
その開発と生産にポルシェ社が絡んでいたという事実もあって、マニアからは神格化されているモンスターセダンなのだが、確かに神格化されるだけのことはある。
500Eは通常の直6セダンにV8エンジンを押し込んだだけの車ではない。機構類の多くを上級のスポーツクーペである「500SL」から流用しており、各部の補強や強化も通常の直6版Eクラスとは段違い。
その圧倒的走行フィールは「Wolf in Sheep’s Clothing(羊の皮をかぶった狼)」または「FIRE AND SILK(炎の情熱と絹の優美)」と評された。
最終年式でも24年落ちとなる現在は、総額290万円付近から中古車を探すことも可能。
だがメンテナンス記録が明確な低走行物件は700万円以上となる場合がほとんどで、1000万円以上のプライスが付くケースも珍しくない。
人気・実力とも申し分なしの強打者だが、「寄る年波」だけは少々心配ということで、イメージとしては今年40歳の現役内野手、阿部慎之助(読売)だろうか。
6番・セカンド「シボレー コルベット(6代目)」
▲2005年に登場した6代目のシボレー コルベット。6~6.2LのV8 OHVを基本とするが、写真は7L V8のハイパフォーマンスバージョンである「Z06」V8エンジンの本場アメリカからやってきた陽気な大砲。販売期間は2005年から2014年で、フロントに搭載されるV8エンジンは排気量6L/6.2L/7LのOHVだ。
「OHV」というのはかなり旧式なエンジン方式で、後に発明された「SOHC」「DOHC」と比べて吹け上がりは鈍いのが一般的。
だが6代目コルベットに搭載されたLS2というOHVエンジンは「これってDOHCだったっけ?」と勘違いしてしまうほどの鋭い吹け上がりを披露する。
通常グレードでも十分以上の打力(走行性能)が期待できるが、もしもハイパフォーマンス版である「Z06(ズィーオーシックス)」選手を招聘できれば、ただでさえ大砲揃いであるこの打線の破壊力はより一層増すはず。
ちなみに通常の6代目コルベット選手の年俸(中古車相場)は300万~380万円といったところで、Z06選手は460万~560万円付近。
チームの財務状況と照らし合わせ、どちらの選手を招聘すべきかを慎重に判断したい。
7番・サード「三菱 プラウディア(初代)」
▲2000年から2001年にかけて、主に三菱グループの社用車として活躍した初代三菱 プラウディア野球ファン(自動車ファン)はもちろんその存在を知っているが、一般的な知名度はきわめて低い意外な選手が「7番・サード」でスタメンの座をつかんだ。
初代プラウディアは、2000年2月から2001年3月までという短期間のみ販売された当時の三菱のフラッグシップセダン。
前身である「デボネア」は3.5LのV6エンジンのみを搭載していたが、こちらは4.5Lの直噴V8エンジンも追加したことで、晴れて「チームV8」の支配下選手となった。
全長5050mm x 全幅1870mmという堂々たるサイズであることに加え、巨体でありながら駆動方式はFFということで、車内は空恐ろしいほど広大。
約1200台生産されただけであっという間に廃番となった車だが、謎の個性と希少性により、相手投手に対して無言のプレッシャーをかける役割が期待されている。
ちなみに年俸(中古車相場)は約50万~約100万円という破格の安さだが、走行10万kmを大きく超えている物件がほとんど。
入団前のメディカルチェック(納車前整備)は必須といえるだろう。
8番・キャッチャー「日産 フーガ(初代)」
▲2004年登場の初代日産 フーガに、2005年途中追加されたV8搭載グレード「450GT」打順はさておき、過酷きわまりない守備位置である「捕手」を務めるのはこの選手。2004年から2009年まで販売された初代日産 フーガに、途中から追加されたV8エンジン搭載グレード「450GT」だ。
450GTは、高級スポーティサルーンである初代フーガに、従来型V8の吸気系やバルブタイミングを変更してフーガ専用設計としたVK45DEエンジンを搭載したグレード。その最高出力は333psで、5速ATを介して後輪を駆動する。
スピーディな現代野球において正捕手を務めるには、フーガの体躯はやや大柄すぎる感もある。
だがVK45DEエンジンは吸気ポートの長・短を切り換えて吸気効率を高める可変吸気システムや、吸気バルブの開閉時期を最適に制御する連続可変バルブタイミング機構を備えるなど、意外と小技も利いている。
大ベテランではあるが、身体(車全体)のケアをしっかり行うことで、その恵まれた体格と筋力を存分に生かせるなら、まだまだ活躍の場はあるはずだ。
9番・ピッチャー「メルセデスAMG C63(初代)」
▲ほぼレーシングスペックといえる6.2LのV8エンジンを、Cクラスベースのコンパクトなボディに押し込んだ初代メルセデスAMG C63大柄な選手が目立つこのチームだが、エース投手の座は「やや小兵」といえるこの選手がつかんだ。ただし体格的には小兵であっても、その排気量はチーム内でも上位となる6.2Lである。
マニアからは「W204」と呼ばれる3代目メルセデス・ベンツ Cクラスをベースとする超ハイパフォーマンスバージョンで、搭載エンジンはノンターボで最高出力457psをマークする6.2L V型8気筒DOHC。
それはAMGが独自に開発し、すべての部品をレーシングスペックで設計したうえで、エンジン1基ごとにAMGの熟練エンジニアが「手組み」した貴重なエンジンだ。
またダウンサイジングターボが主流となった今の世の中では、「大排気量の自然吸気エンジン」というだけでもかなりの価値がある。
現在の中古車相場は約240万~620万円と上下にかなり幅広いが、前期型のボリュームゾーンが250万円近辺で、2011年8月以降の後期型が340万円前後といったところ。
ただし2013年7月に登場した「エディション507」(車名どおり最高出力507psのV8を搭載)は540万円以上となるはず。
いずれにせよCクラスに「6.2L」「457ps」「レーシングスペック」のエンジンが積まれているというのは、考えてみれば凄いこと。
その意味では、投手としては決して大柄ではない身長178cmでありながら、最速158km/hのストレートを武器に5年連続リーグ最多奪三振を記録した則本昂大(楽天)のイメージに近い。
▲二遊間のインパクトが大! 攻撃からリズムを作るチームになりそうだ以上が、自称監督である筆者が考えるチームオーダーである。なお、新たな球団社長(プレジデント)には日産 プレジデント氏が就任する予定だ。

自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル XV。
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