待望の新型M・ベンツ GLCがまさかのEVのみ……!? 絶望したあなたに贈る、互角の魅力をもつEVじゃないモデル5選
2025/10/28
▲大注目の新型メルセデス・ベンツ GLCが海外で発表されたのはいいが、新型はなんとEVのみである模様次期型GLCはBEV(電気自動車)のみになる?
大きすぎないサイズ感と、メルセデスならではのクオリティ感およびブランド力。そしてSUVとしての実用性の高さから、絶大な人気を集めているメルセデス・ベンツ GLC。
アッパーミドルクラスのSUVを検討する際には「ぜひ買ってみたい1台」として、有力候補のひとつになることが多いはずのモデルです。そんなメルセデス・ベンツ GLCの新型が、2025年9月に開催されたドイツ国際モビリティショーで世界初公開されました。
しかしながら……なんと新型はEVのみ! 今回発表された最上位グレード「GLC 400 4MATIC with EQ Technology」は、全長4845mm×全幅1913mm×全高1644mmのBEV(バッテリー式電気自動車)。前後に搭載するモーターのトータル最高出力は490psで、最大713kmの航続距離を実現するとのこと。そしてAI駆動の車載オペレーティングシステム「MB.OS」や、メルセデス史上最大となる39.1インチのシームレス型MBUXハイパースクリーンを搭載するなど、きわめて魅力的なSUVに仕上がっている模様です。
▲本国で発表された新型メルセデス・ベンツ GLCのインテリア。インフォテインメントや運転支援、快適装備、充電機能などが一元的に統合される39.1インチのシームレス型MBUXハイパースクリーンを採用しているとはいえ……です。EVを否定するわけでは決してないのですが、充電環境などの関係で、日本におけるEVの購入はまだまだハードルが高いのも事実。特にマンションなどの集合住宅に住んでいると、EVはどうしても選択肢から外さざるを得ない場合が多くなります。
というわけで「新型GLCが公開されたけど、EVだった」という事実に絶望している人も多いかと思いますが、絶望ばかりしていても仕方ありません。ここはひとつ新型メルセデス・ベンツ GLCとおおむね同等クラスの非EVで、なおかつ新型GLCと同じぐらい魅力的な「代案」を考えてみることにしましょう!
新型GLCの代わり①|メルセデス・ベンツ GLC(2代目)
→想定予算:総額660万~750万円
新型GLCがEVになったというニュースに一瞬絶望しましたが、よく考えてみれば中古車市場には発表された最新型の先代になる「2代目のメルセデス・ベンツ GLC」がたくさんありますので、絶望する必要は特にないのかもしれません。
▲こちらが現在販売されているメルセデス・ベンツ GLC(2代目)2023年3月に登場したばかりの2代目GLCであれば、さすがに新型ほどではないかもしれませんが、すべての面でおおむね同等の「今どき感」を味わうことができ、なおかつ新型とほぼ同等の「メルセデス感」を堪能できるでしょう。
2023年3月に発売となったメルセデス・ベンツ GLC(2代目)は、全長4725mm×全幅1890mm×全高1640mmのミドルサイズSUV。新型と比べるとやや小ぶりですが、日本の道にはむしろ現行型のサイズ感の方が合っているともいえます。
▲まさに「大きすぎず小さすぎず」といったサイズ感ゆえ、日本の道路でも扱いやすい中心となるパワーユニットは最高出力197ps/最大トルク440N・mの2L直4ディーゼルターボ+マイルドハイブリッドで、駆動方式はフルタイム4WD。
スイッチ操作でエンジンやトランスミッションの特性を切り替えることができる「ダイナミックセレクト」は標準装備で、メディアディスプレイに車両フロントの下方路面映像を仮想的に映し出す「トランスペアレントボンネット」も標準装備です。
さらにレザーエクスクルーシブパッケージまたはAMGレザーエクスクルーシブパッケージが付いた中古車であれば、仮想現実を用いた「MBUX ARナビゲーション」も付いています。
▲「AMGレザーエクスクルーシブパッケージ」装着車両の運転席まわりオススメのグレードは、流通量が豊富でなおかつ価格もこなれている「220 d 4マチック (ISG搭載モデル) AMGラインパッケージ ディーゼルターボ4WD」。これであれば装備内容にも何ら不満はなく、走行距離も短めな物件が大半であるため、中古車としてのコンディションにも問題ない場合がほとんどです。
2025年10月中旬現在、220 d 4マチック (ISG搭載モデル) AMGラインパッケージ ディーゼルターボ4WDのカーセンサーnet掲載台数は約120台で、支払総額は約650万~950万円となっています。全体の価格は上下に幅広い状況ですが、総額720万円前後のゾーンで「ちょうどいい1台」が見つかるでしょう。
▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(2代目)×220 d 4マチック (ISG搭載モデル) AMGラインパッケージ ディーゼルターボ4WD▼検索条件
メルセデス・ベンツ GLC(2代目)新型GLCの代わり②|BMW X3(4代目)
→想定予算:総額680万~750万円
現行型メルセデス・ベンツ GLCの中古車はかなりステキな選択肢かと思いますが、新型GLCと比べた場合は「エクステリアデザインにおけるブランニュー感」がやや弱いかもしれません。
そしてもしもそこを重視するのであれば、選択すべきはBMW X3(4代目)になるでしょう。
▲2024年11月に登場したBMW X3(4代目)
▲フロントもリアもまるで金属の塊から削り出したかのような、なんともアバンギャルドな造形日本では2024年11月に発売となった現行型(4代目)BMW X3は、立体感が強調された斬新なエクステリアデザインがまずは大きな特徴となる、全長4755mm×全幅1920mm×全高1660mmのミドルサイズSUV。
まるで金属の塊から削り出したかのような全体のフォルムとディテールは、より新しい世代である新型メルセデス・ベンツ GLC以上に「新しい」といえます。
そしてBMW X3(4代目)はインテリアにおいても、メーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させた「BMWカーブドディスプレイ」を採用し、コックピット周辺からドアパネルにまで配置されるアンビエントライトも搭載するなど、いわゆる今どき感は十分以上。
▲シフトレバーを廃止し、センターアームレスト前方に操作系スイッチを集約するという当世風デザインを採用しているBMW X3(4代目)のコックピットもちろんBMW X3(4代目)は「デザインだけの車」では決してなく、2L直4のガソリンターボおよびディーゼルターボと、3L直6ガソリンターボのそれぞれにマイルドハイブリッド機構を組み合わせたパワーユニットと、BMWならではのスポーティな車台と足回りによって生まれる痛快な走行フィールという観点においても、選ぶべき価値は大いにあるSUVです。
オススメのグレードは、現時点で最も流通量が多く、吟味と取捨選択が行いやすい「20d xドライブ Mスポーツ ディーゼルターボ 4WD」です。こちらであれば最大トルク400N・mの2L直4ディーゼルターボエンジンがもたらす力強い走りと、まずまずの燃費性能(WLTCモード燃費=16.3km/L)、そしてMスポーツならではのスポーティなビジュアルと足回りを堪能することができます。
現在、BMW X3 20d xドライブ Mスポーツ ディーゼルターボ 4WDのカーセンサーnet掲載台数は約70台。支払総額は約690万~890万円と上下に幅広い状況ですが、主には総額720万円前後のゾーンで、走行数千kmレベルの物件を多数見つけることができるでしょう。
▼検索条件
BMW X3(4代目)×20d xドライブ Mスポーツ ディーゼルターボ 4WD▼検索条件
BMW X3(4代目)新型GLCの代わり③|BMW X3(3代目・後期型)
→想定予算:総額450万~530万円
ドイツで発表された新型メルセデス・ベンツ GLCは、いかにも最新世代のSUVらしい「ブランニュー感」のあるデザインが魅力的ですが、「とはいえ斬新すぎるデザインではなく、どことなく古典派でもある」という部分が、もしかしたら絶妙な魅力ポイントなのかもしれません。
造形における「新しいが、新しすぎない」というニュアンスを大事にしたいのであれば、代替案として採用べきはBMW X3(4代目)ではなく、1世代前のBMW X3(3代目)の後期型でしょう。
▲こちらが先代BMW X3(3代目)の後期型先代(3代目)BMW X3は、2017年から2024年まで販売された全長4720mm×全幅1890mm×全高1675mmのSUV。2L直4のガソリンターボとディーゼルターボを中心とするパワーユニットも、そして車台や足回り、さらには運転支援システムに関してもいまだ古さは感じさせず、奇をてらうことのないオーソドックスなフォルムも、今となっては好印象です。
とはいえ2017年に登場した前期型の造形は、さすがに少々の「古さ」も感じさせます。しかし2021年10月のマイナーチェンジを受けた後期型であれば、「オーソドックスな美しさがあり、なおかつ古さも感じさせない」という、ちょうどいいあんばいのビジュアルと雰囲気を味わうことができるのです。
▲オーソドックスでありつつ、現代的でもあるのがX3(3代目)後期型のエクステリアデザインのいいところそしてBMW X3(3代目)の後期型はビジュアル面の変更があっただけでなく、最新の予防安全・運転支援システム「ドライビングアシストプロフェッショナル」が全車に採用され、渋滞時の手放し運転を可能にする「ハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能」も搭載。
さらに標準装備の「パーキングアシスタント」には、自車が直前に走行した最大50mのルートを記憶し、同じルートをバックで正確に戻る「リバースアシスト機能」も採用されました。これらの機能をもってすれば、新型メルセデス・ベンツ GLCにも十分対抗できると思われます。
▲インテリアデザインもX3(4代目)と比べればきわめてオーソドックスだが、ハンズオフ運転も普通に可能な車で、いわゆる「自動車庫入れ」を行うこともできるオススメのグレードは、流通量がきわめて豊富であり、ディーゼルターボエンジンの力強さと経済性を満喫でき、なおかつスポーティな装備も充実している「xドライブ20d Mスポーツ ディーゼルターボ 4WD」。こちらの2025年10月半ば時点のカーセンサーnet掲載台数は約150台で、価格は総額350万~690万円。総額400万円台後半にて、何かと好バランスな1台が見つかるはずです。
▼検索条件
BMW X3(3代目)後期型(2021年10月~2024年10月)×ドライブ20d Mスポーツ ディーゼルターボ 4WD▼検索条件
BMW X3(3代目)後期型(2021年10月~2024年10月)新型GLCの代わり④|ボルボ XC60(2代目・2022年7月~)
→想定予算:総額450万~650万円
「斬新すぎない落ち着いたエクステリアデザイン」を重視したい場合、先ほどご紹介した先代BMW X3の後期型はナイスな選択肢となるはずです。しかし、やはりBMWならではのややアグレッシブでスポーティなデザインや雰囲気はどうしても付いてまわりますので、「自分としては、もう少し落ち着いたニュアンスのSUVの方が……」という方もいらっしゃるかもしれません。
そんな場合に注目したいのは、現行型(2代目)ボルボ XC60の後期型です。
▲こちらがボルボ XC60(2代目)。写真は特別仕様車「XC60ウルトラB5 AWD ダークエディション」日本では2017年10月に発売されたボルボ XC60(2代目)は、スウェーデンのボルボ社が作っている全長4690mm×全幅1900mm×全高1660mmのミドルサイズSUV。
シャープな中にも温かみを感じさせるエクステリアデザインや、流木をモチーフにした「ドリフトウッドパネル」などによって上質な雰囲気に仕立てられたインテリアの世界観は、何かと押しの強い(?)ドイツ製SUVとはまた違った種類の魅力にあふれており、「落ち着きのある上質さ」を好む人であれば、きっと大いに気に入るはず。
とはいえ初期モデルが登場したのは今から8年前ということで、その内外装デザインや機能には若干の古さも感じます。しかし2025年6月の仕様変更を受けた最新世代であれば、デザインの面でも各種機能の面でも、古さはまったく感じさせません。
……ただ残念なことに、2025年6月以降の最新世代は、中古車としてはまだほとんど流通していません。であるならばセカンドベストとして、「2022年7月の仕様変更を受けた世代」に注目するべきでしょう。
▲本当は2025年6月以降の仕様を選びたいところだが、残念ながらまだ中古車の流通は本格化していないこちらの世代は、最上級モデルである「アルティメット」と充実装備の「プラス」を基本とするシンプルなグレード構成に変わり、アルミホイールのデザインを変更。そして――これは2021年9月からですが――「Google Apps and Services」と「Volvo Cars app」で構成される新たなインフォテインメントシステムに刷新され、前後バンパーやフロントグリルのデザインも変更されました。
オススメのグレードは、充実装備と2L直4ターボ+マイルドハイブリッドのパワーユニットが特徴となる「アルティメット B5 AWD 4WD(2023年7月~)」または「ウルトラ B5 AWD 4WD(2024年7月~)」。両者を合わせたカーセンサーnet掲載台数は約200台で、それぞれの支払総額はおおむね下記のとおりです。
●アルティメット B5 AWD 4WD:総額約400万~800万円
●ウルトラ B5 AWD 4WD:総額約550万~840万円
アルティメット B5 AWDの場合は総額490万円前後、ウルトラ B5 AWDの場合は総額630万円前後が要注目の価格帯です。
▼検索条件
ボルボ XC60(2代目)×アルティメット B5 AWD 4WD▼検索条件
ボルボ XC60(2代目)×ウルトラ B5 AWD 4WD▼検索条件
ボルボ XC60(2代目)×2022年7月~新型GLCの代わり⑤|レクサス NX(2代目)
→想定予算:総額450万~650万円
メルセデス・ベンツ GLCをはじめとするドイツ車全般は、「重厚感のカタマリ」であるのが美点であると同時に、ちょっとした弱点でもあります。ドイツのアウトバーンを250km/hで巡航する場合には思いっきりプラスに働く「重厚感」ですが、日本の道を50~120km/hぐらいで走る際には、本来はストロングポイントであるはずの重厚感が、単なる「重さ」や「硬さ」として感じられてしまうこともあるのです。
まぁこのあたりは一概にはいえない話であるため断言はしづらいのですが、「日本の道を走らせるなら国産車が一番!」という考えは、決して絶対ではないものの、ある程度の正解ではあります。
そしてもしもあなたが「ドイツ車」や「輸入車」であることに特にこだわらないのであれば、現行型のレクサス NX(2代目)は、新型メルセデス・ベンツ GLCの代わりとしてまずまず機能するのではないかと思われます。
▲こちらがレクサス NX(2代目)。写真は2023年3月に一部次改良を受けた世代2021年10月に登場した現行型(2代目)レクサス NXは、現行型メルセデス・ベンツ GLCよりほんの少しだけ小ぶりな、全長4660mm×全幅1865mm×全高1660mmのミドルサイズSUV。
車台は最新世代のGA-Kプラットフォームで、パワーユニットは2.5L直4ガソリン自然吸気と2.5L直4ハイブリッド、2.4L直4ガソリンターボ、2.5L直4プラグインハイブリッドの4種類をラインナップ。
いずれのパワーユニットを搭載するグレードも最初期から素晴らしい出来栄えでしたが、その後、NX(2代目)は2023年3月と2024年2月にマニアックな年次改良を実施。ボディやサスペンションまわりの剛性をさらに強化したり、空力バランスや電動パワーステアリングのチューニングを変えるなど、年次改良の内容はかなり細かく、かなりマニアックです。
そして改良はインテリアや予防安全装備の内容などにもこまごまと及んでいますので、2023年3月以降または2024年2月以降の現行型レクサス NXは相当いい感じのミドルサイズSUVに仕上がっています。そしてそれを所有したり運転したりした際の満足度も、メルセデス・ベンツ GLCに決して負けていません。
▲NX(2代目)のインテリアはおおむねこのような世界観。写真の内装色は「ヘーゼル」
▲こちらはFスポーツの専用色となる、その名も「“F SPORT”専用ホワイト」そんな現行型レクサス NXでオススメのグレードは、多種多様なパワーユニットと仕様があるため絞りづらいのですが、好バランスなSUVがお望みであれば、車名に「350h」と付くグレード(2.5L直4ハイブリッドを搭載するグレード)、中でもスポーティなSUVがお好みの場合は「350 Fスポーツ 4WD」(2.4L直4ガソリンターボ搭載グレード)ということになるでしょう。
2023年式以降の現行型レクサス NXのカーセンサーnet掲載台数は約460台。支払総額は約490万~860万円といったところで、350h系は総額約550万円前後、350 Fスポーツ 4WDは総額約600万円前後が要注目のゾーンです。
▼検索条件
レクサス NX(2代目)×350h系▼検索条件
レクサス NX(2代目)×350 Fスポーツ 4WD▼検索条件
レクサス NX(2代目)
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。
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