自宅はハイエース! 野外選曲家・河合桂馬は日本中を駆け巡る
2018/12/13
商用車として誕生したトヨタ ハイエース。日本国内だけでなく、海外市場でも高値で取引されるほど人気は高い。トランスポーターとしての役割が本来の姿ではあるが、ハイエースの魅力は今やそれだけにとどまらない。今回は、DJ機材をハイエースに積み込み日本全国を駆け回る“野外選曲家”河合桂馬さんに密着。DJながら、クルマとともに在り続けるユニークな生活に迫る。
日本各地を転々とする旅するDJ
河合桂馬さんは学生時代にDJの華やかな世界に魅了され、2002年にクラブ「青山MIX」でハウスDJとしてキャリアをスタートした。大学卒業後、アパレル会社へ就職し、アウトドアブランドへ転職したが、2015年に脱サラしてフリーランスのDJとして本格始動。その経歴を生かし、アウトドアとDJを合わせた“野外選曲家”という肩書きを武器に多くの野外フェスを賑わせている。
「実は昨日、都内のクラブイベントでプレイしてきたばかりなんですよ。で、今日は夕方から野外イベントの出番。物理的にクルマで行けるエリアであれば、このハイエースに乗って現場まで移動しています」
クラブイベントから『GO OUT CAMP』や『GREENROOM FESTIVAL』、『Natural High!』など、名だたる野外フェスまで精力的に参戦。今や「野外フェスのDJ=河合桂馬」という地位が確立されつつある。
そんな河合さんの生活を支えるのがハイエース。東から西まで、どんなに長い距離もハイエースで走り続ける。搭載されたオドメーターを見れば、これまでにどれほどの距離を転々としてきたのかがわかる。
「自分で運転して会場入りし、また別現場までクルマで移動して。よく『大変じゃないの?』って聞かれますけど、それほど苦じゃないんですよね。移動自体を“旅”と考えているので。今まで行ったことない場所に行けるのも案外楽しかったりして」
ハイエースでの移動は、彼にとってロードトリップ。時間に余裕があれば下道を、あえて選ぶ。高速では感じられない下町の雰囲気。次のステージでどういうプレイリストにするか。道中で得た情報が曲作りのプロセスにもなっている。
「旅自体もそうですが、日本全国のステージを経験するのも面白いですね。その土地や会場によって、お客さんの層や雰囲気がまるで違う。それをDJの奏でる音で盛り上げていく。どんな音がお客さんにハマるのかをあらゆる角度から探っていくのは、DJの醍醐味でしょう。多種多様なイベントでDJするのは、とても刺激的ですね」
ハイエースがあれば、どこでもDJプレイができる
ハイエースで会場入りする河合さんの姿は、いつしか当たり前になっていた。しかし、彼の愛車は見るたびに姿が違う。
「フリーランスとして独立する時、たまたま先輩からこのハイエースを譲り受けました。当初は今のようにカスタムしていなかったのですが、『カーネル』という車中泊専門誌にハイエースをカスタムする企画を提案し、連載企画として、仕事の合間を縫って色々とイジったんです」
数あるクルマの中でも、ハイエースほど荷物の運搬に向いている車両はなかなかない。河合さん自身も、DJ機材や音響機材を運べるハイエースの優れた積載量にはほれ込んでいる。しかし、ハイエースの魅力はそれだけではない。
「もちろんタフに使えるというのもありますが、ハイエースはシンプルな作りなのでカスタムのしがいがあるんです。例えば、室内を木張りにしたり、フルフラットのベッドを作成したり。連日運転し、1年のほとんどをこのクルマで過ごすので、車内で休息をしっかりとれるように工夫しています」
夜になると天井中央にあるLEDルームランプ、両サイドに配置した調光可能なバーライトが車内を明るく照らす。1500Wまで使用可能なAC電源を取り付け、快適な空間に仕上がっている。
「電源があれば、ターンテーブルやDJミキサーなども使用できます。このハイエースと一緒ならいつでもどこでもDJプレイが可能なんです(笑)」
ハイエースがあれば、どこでもDJプレイができる
河合さんの自由気ままな生活に憧れる人も多いだろうが、車中泊は少しハードルが高く思える……。しかし「実際にやってみると案外難しくないですよ」と河合さんは語る。
「誰かのスタイルを真似るんじゃなくて、まずは車中泊をしてみる。自分の経験から学ぶのが何事も大切だと思います。足が伸ばせるバンが車中泊に向いているとかいろいろあるけれど、今クルマを持っているなら、まずは一度挑戦してみる。それで直面した問題を少しずつクリアしていけば良いんです」
日帰りできる近場の海に行って遊んで寝て、そして帰って来る。それぐらい気負わないのが、車中泊の入門にはベスト。どんなクルマが向いているのか、何が必要なのか。そういった勘は、楽しむうちに身についていくという。
まずは試して、そして失敗して……。次の策を考える。河合さんのスタイル=ロードトリップも、そうやって確立されたのだ。
もしハイエース以外の相棒を選ぶなら……
次に乗りたいクルマはキャンピングカー! メルセデス・ベンツのスプリンターをベースにしているクルマなら最高ですね。一方で乗用車ならメルセデス・ベンツ Gクラスやポルシェ マカンなどのSUVにも乗ってみたい。あとは……ポルシェ ケイマンですかね。名前が桂馬なんで興味があります(笑)。
PROFILE
河合桂馬:大学卒業後、セレクトショップ、アパレル商社のPRを経て2015年からフリーランスのDJとして本格始動。日本唯一の“野外選曲家”として注目を集め、数々の野外フェスで活躍している。
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