フォルクスワーゲン ティグアン▲フォルクスワーゲン ティグアン(2代目)の2021年フェイスリフトモデルに試乗する機会を得た。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が公道試乗でレポートする

欧州で最も売れているSUV

2008年に初代フォルクスワーゲン(以下、VW)ティグアンが登場してからもう13年。日本で生活していると実感は湧きにくいが、世界中で累計600万台以上販売しているモデルなのだ。VWグループの中でも、とても重要なモデルである。

しかも、欧州ではSUVで最も販売台数が多いモデルなのだ。そういう観点から見ると、力の入れ具合が違ってくるのは当たり前といえる。であるから、今回試乗する2代目のR-Lineフェイスリフトモデルは期待できそうだ。

もっとも、2017年に登場した2代目もイヤーモデルごとに乗り心地に関して小さな成熟を繰り返してきた。しかし今回は、基本の骨格は同じだが、心臓部といえるエンジンとトランスミッションの装いも新たになった。見えない部分にも細かい見直しがあるに違いない。

フォルクスワーゲン ティグアン
フォルクスワーゲン ティグアン

「フェイスリスト」と言いつつ中身も大幅刷新

フェイスリフトしたティグアンは、新たに32個のLEDをコントロールして最適な配光を行うようヘッドライトやテールライトも変更。エンジンフードとグリルにも手を加えて、全体的に質感を向上させたエクステリアだ。

中でも、これから試乗するR-Lineは、歌舞伎役者が口を開けたような様子の専用バンパーと、19インチのホイールを装着して、エクステリアから精悍で重厚感を醸し出す。

インテリアも、新たなセンタークラスターによる次世代インフォテイメントシステムと多機能のデジタルステアリングホイールを採用したというから、本国では「フェイスリフト」とは言っているものの、やはり中身もそうとう刷新しているようだ。

搭載されるユニットは、新開発の1.5Lターボエンジン。150馬力を発揮しトルクも1500回転からフラットに2.5Lクラス以上のパフォーマンスを発揮するという。また、トランスミッションは6速から7速に変更した。

フォルクスワーゲン ティグアン
フォルクスワーゲン ティグアン
フォルクスワーゲン ティグアン

静粛性・動き出し・スタビリティ、すべての質感向上を実感

試乗先は箱根のワインディングだ。

このスタイリングを見ると4WDのような力強い雰囲気だが、実際にはFFである。乗り込むと、まったくというほど以前と雰囲気が異なる。高級感を演出して満足度を向上させる狙いがあるのだろう。国産車では見られないほどソフトパッドを贅沢に使用しているところがVW流だ。

エンジンを始動すると、以前よりもさらに静粛性が向上している。このクラスの国内外のあらゆるモデルと比較しても、最高峰の静粛性だと感じる。

発進もこれまでよりもなめらかで、DSG特有のダイレクト感は相当マイルドになった。踏み込んでみても変速がとてもスムーズで、7速の恩恵と新しいエンジンの粘り強いトルクによって、もたもたした印象は皆無だ。必要にして十分なパフォーマンスと言っていい。

また、乗り心地もソフトでしっかりとした。この成熟感が満足へと誘うに違いない。カーブのトレース中にも、気になるサスペンションの動きもせず、終始スタビリティの高さが際立つミドルSUVである。

以前はFFモデルによるトラクション不足が感じられた。しかし、新たなこのモデルは、制御がいいのと、新たなパワープラントと変速機のマウンティングが良好なためか、いいあんばいだ。

VWとして売れているモデルだけに、さらにいいモノを採用してすべての質感を向上させているに違いない。
 

フォルクスワーゲン ティグアン
フォルクスワーゲン ティグアン
フォルクスワーゲン ティグアン
文/松本英雄、写真/篠原晃一

【試乗車 諸元・スペック表】
●TSI Rライン

型式 3BA-5NDPC 最小回転半径 5.4m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.52m×1.86m×1.68m
ドア数 5 ホイールベース 2.68m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1520kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 -m
マニュアルモード    
標準色

ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック

オプション色

オリックスホワイトパールエフェクト、キングズレッドメタリック

掲載コメント

-

エンジン型式 DPC 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 60リットル
可変気筒装置 燃費(JC08モード) 15.5km/L
総排気量 1497cc 燃費(WLTCモード) 14.3km/L
└市街地:11.4km/L
└郊外:14.4km/L
└高速:16.1km/L
燃費基準達成 -
最高出力 150ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
型式 3BA-5NDPC
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック
オプション色 オリックスホワイトパールエフェクト、キングズレッドメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.52m×1.86m×1.68m
ホイール
ベース
2.68m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1520kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DPC
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置
総排気量 1497cc
最高出力 150ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 60リットル
燃費(JC08モード) 15.5km/L
燃費(WLTCモード) 14.3km/L
└市街地:11.4km/L
└郊外: 14.4km/L
└高速: 16.1km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。