「脱仏入独」で目指す人気者

  • シトロエン C5 走り|ニューモデル試乗
  • シトロエン C5/C5ツアラー フロントスタイル|ニューモデル試乗
↑クルマ全体のクオリティは上がっているが、シトロエンの美点は薄まっている印象が強い(左)今回からツアラーと呼ぶワゴンとセダンの2つのボディに、2L直4と3L V6の2種類のエンジンが組み合わされる(右)
趣味車の2CVはともかく、我が家の主力はBX、エグザンティアと中型のハイドロシトロエンが続いてきた。その伝統(?)を途切れさせたのは旧型C5である。斬新でもなくコンサバでもないスタイルは最後まで好みに合わなかった。そう思う人は少なくなかったようで、中古車では後期型エグザンティアにC5よりも高い値段がついていることがままある。

新型C5の後ろ姿はBMW3シリーズやアウディA4のようであり、6ライトのサイドウインドウはティアナのようでもある。CXとGSの時代のように、小さなC6を願っていたコアなシトロエンファンには残念無念だが、斜め後ろからの姿はなかなかグッドルッキングだと思う。大きなセールスを期待されているC5に2代続けての失敗は許されないということだろう。

大きなセールスを目指す新型C5はスタイリングだけでなく、クルマ全体にドイツ車の影響を強く感じる。内装はアウディのように質感が高く、特にシートは分厚く立派だ。そのぶんボディサイズの割に後席の膝元に余裕がない。足回りも硬くなった。エグザンティアや旧型C5は2Lより3Lモデルの方がハイドロならではのドンブラコ感を味わえたものだったが、新型の3Lモデルはいまいちドンブラコしない。想定している速度域が少々上がったような印象である。

浮動票系おしゃれガイシャ乗りには魅力的な存在

  • シトロエン C5 インパネ|ニューモデル試乗
  • シトロエン C5 シート|ニューモデル試乗
↑立派なセンターコンソールと品質感の高いインパネ。収納性は乏しい(左)3Lにはちょっと硬めなマッサージ機能付本革シートが標準装備となる(右)
クイックなのに高い直進性を発揮するステアリング特性はシトロエンの伝統だが、新型は低中速の微舵域でチョロチョロ落ち着かないことがあって、これは少々気になった。ただクルマの剛性感や静粛性の高さには世代の進化を如実に感じる。

ドイツ車を目指したおかげで内外装を中心にクルマ全体のクオリティは上がった。一方でシトロエンの美点であったパッケージングの良さや、図抜けた直進性、何より鷹揚な乗り心地は薄まっている印象が強い。販売の中心となる2Lモデルにまだ乗っていないのと、シトロエンにとって最良のステージであるロングドライブへ連れ出していないので、最終的な評価は避けるが、「穴ほじり」や「スペコン」の意味が分かるコアなシトロエンファンには、最近中古車が安くなったC6をオススメする。

ただそれはシトロエンを偏愛する者の意見だ。わが国において、より多数派であるアウディやボルボ、プジョーなどの間を彷徨う「不動票系おしゃれガイシャ乗り」には、ドイツ車のようでドイツ車ではない新型C5は魅力的に映るだろう。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード C5 2.0 C5ツアラー 3.0
エクスクルーシブ
駆動方式 2WD(FF)
トランスミッション 4AT 6AT
全長×全幅×全高(mm) 4795×1860×1470 4845×1860×1490
ホイールベース(mm) 2815
車両重量(kg) 1600 1790
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC V6DOHC
総排気量(cc) 1997 2946
最高出力[ps/rpm] 143ps/6000rpm 215ps/6000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 20.8kg-m/4000rpm 30.5kg-m/3750rpm
10・15モード燃費(km/L)
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/72
車両本体価格 399.0万円 499.0万円
(Tester/馬弓良輔[インポートカーセンサー副編集長] Photo/尾形和美)