▲街乗りでも優雅に乗り回せるエレガントなレクサス ES ▲街乗りでも優雅に乗り回せるエレガントなレクサス ES

日本初導入となったES

レクサス ESは1989年に北米で登場し、今回7代目となった。

そのモデルが、日本へ初導入された。

北米でトヨタのカムリは有名だが、レクサスブランドのESもサルーンとして中核を担うモデルである。

以前、日本でレクサスのブランド名ではなかったものの、トヨタからウィンダムという車が発売されていた。

これが『レクサス ES』である。

ESの真骨頂は、とにかくゆったりとした空間で、心地よさと静粛性が味わえる。

新型『ES 300h』は、日本人が考えた質の高いキャビンとドライビングを可能にしたという。

さて、実際に特別なサルーンになっているのであろうか。

パワーユニットは2.5L直噴自然吸気ユニットに120馬力を発揮するモーターが組み合わされている。

ハイブリッド仕様のみである。

グレードは3種類あり、ES 300h 、version L、F SPORTだ。

今回、version LとF SPORTを試乗したので感想をお伝えしたい。

まずはデジタルアウターミラーを装着したversion L

フロントを斜めの位置から見るとレクサスのフラッグシップであるLSにとても似ている。

ドアを開けて乗り込むと、最高級の雰囲気をバランスよく散りばめられており、リラックスできる。

電動パワーシートで自分のポジションに合わせ、様々な位置を確認する。

▲Aピラーの付け根に装着されたデジタルアウターミラー▲Aピラーの付け根に装着されたデジタルアウターミラー

少し慣れが必要そうなのがAピラー付け根にモニターが装着されるデジタルアウターミラーだ。

左はすぐに慣れるのだが、右を見ると従来のドアミラーの位置を見てモニターに視線を戻すようになってしまう。

しかし、モニターの位置を意識し20分ほど乗っていると、気がついたら普通にモニターを見ていたという印象だ。

光学式に慣れている我々からすると、モニターを見たときの奥行き感と解像度が気になった。

しかし、高速での風切り音に対してはデジタルアウターミラーのアドバンテージは高い。

見切りもなかなかいいし、エクステリアのデザインも好みはあるがスマートで未来的だ。

エンジン

ミラーに気を取られていたが、トヨタ カムリと比べると室内の静粛性はかなり高い。

耳障りな振動も抑えられ、ラグジュアリーな静けさはゆったりとした気持ちにしてくれる。

意図的にフルロード(高負荷)を試すとエンジン音は大きくなるが、プラットフォームとエンジンマウントの方式によって雑味のようなクセはない。

加速後に、速度を安定させるためアクセルペダルから足を離すと、また静けさが戻ってくる。

そして、その静粛性に最も大きく関係しているのが、剛性の高い新しいプラットフォームとサスペンションのセッティングだ。

もちろん、防音材に抜かりはないが、ボディのバイブレーションや突き上げのいなし方も乗り心地と静粛性の良さに関係している。

version Lには世界初となるスウィングバルブショックアブソーバーというダンパーが採用された。

これが、小さな動きに対して奥深い収束を繰り返し、走行中のスタビリティの高いフラットライドなボディにしてくれる。

この威力は素晴らしい。

電子デバイスを使わずに最適なところを仕留めており、高速時の空力にも大きく関係している。

また、ハイブリッドはフル充電時にブレーキフィールをコントロールしにくかったが、リニアに効く仕様となったのだ。

優雅にドライブするには不可欠である。

このダンピングシステムと電動パワステによって、高速のレーンチェンジやコーナリングでもどっしりとした安定感が可能となった。

思うようにトレースできる一体感は、レクサスとトヨタのFFモデルの中では最も安心感がある。

どこに行っても見劣りしない優雅さと、普段の日常生活にも合う雰囲気がES 300h version Lにはある。

続いてスポーティなF SPORTの試乗

▲Fスポーツのエクステリアデザイン。グリル形状やシートの選択できるカラーが異なる▲Fスポーツのエクステリアデザイン。グリル形状やシートの選択できるカラーが異なる

エクステリアデザインは、専用のホイールとグリルでぐっと引き締まり低く構えた雰囲気となった。

ホールド性に富んだ専用シートは、肌触りが滑らかなウレタンフォームだ。

F SPORTを走らせる。乗り心地は硬めにセッティングされている。

サスペンションは運転と路面状況に応じて減衰力を電子制御する。

一応、説明では細かな制御は650段階といっていたが、運転してみるとシャシーとのマッチングが悪く、しなやかさに欠けてしまっている。

ステアリングの応答性はとても良かったが、ダンパーの動きがもう少し細かく制御できればさらに進化して素晴らしいシステムになると感じる。

ゆったり心地良く乗るのであれば断然version Lであるが、アクティブにスポーティな雰囲気を好むのであればF SPORTとなる。

version LでF SPORTの加飾があっても良いのではないかと個人的には思った。

text/松本英雄
photo/尾形和美

【SPECIFICATIONS】
■グレード:version L ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+モーター ■総排気量:2487cc
■最高出力:131(178)/5700 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:221(22.5)/3600-5200[N・m(kgf・m)/rpm]
■モーター最高出力:88(120) [kW(ps)]
■モーター最大トルク:202(20.6)[N・m(kgf・m)]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4975 × 1865 × 1445(mm) ■ホイールベース:2870mm
■車両価格:698万円(税込)

■グレード:F SPORT ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直列4気筒DOHC+モーター ■総排気量:2487cc
■最高出力:131(178)/5700 [kW(ps)/rpm]
■最大トルク:221(22.5)/3600-5200[N・m(kgf・m)/rpm]
■モーター最高出力:88(120) [kW(ps)]
■モーター最大トルク:202(20.6)[N・m(kgf・m)]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長x全幅x全高:4975 × 1865 × 1445(mm) ■ホイールベース:2870mm
■車両価格:629万円(税込)