▲Gクラス、190E2.5 16EVOⅠ/Ⅱ、E500、AMGなどの特別なモデルは要望に応じて検討するとのこと。また並行輸入車、改造車は対象外となる ▲Gクラス、190E2.5 16EVOⅠ/Ⅱ、E500、AMGなどの特別なモデルは要望に応じて検討するとのこと。また並行輸入車、改造車は対象外となる

W201にW104、R129……普段使いのメルセデス“ヤング・クラシック”のリフレッシュプログラム

“ヤング・クラシック”。クラシックと呼ぶには新しい70年代から90年代のモデルをメルセデス・ベンツではそのように称している。

1993年、メルセデス・ベンツ本社のあるシュトゥットガルト市近郊のフェルバッハに、メルセデス・ベンツ博物館に所蔵されるヒストリックカーのメンテナンスやレストアを担う部門としてクラシックセンターが開設された。そこは、博物館の所蔵車だけに限らず、一般ユーザーの所有車にもその門戸が開かれている。50~60年代のクラシック・メルセデスファンは世界中に数多く存在するだけに、この部門への需要は年々高まりをみせ、欧州には同等の技術や知識をもつ系列店が数多く設置されることになり、また2006年にはアメリカでもクラシックセンターが開設されている。

そうした流れの中で、生まれたのが“ヤング・クラシック”プロジェクトだ。ドイツ本国では、それら70~90年代のモデルをメンテナンスするだけでなく、レンタルや販売も手がけてきた。

2016年1月、メルセデス・ベンツ日本でも新車整備累計100万台達成および会社設立30周年を記念して、「ヤング・クラシック リフレッシュプログラム」を開始した。日立の新車整備センター(VPC)で、当時の故障診断機や技術資料を駆使し、純正部品やリマン部品(再生パーツ)などを用い、また当時のメーカー指定塗料で純正色を忠実に再現するなど、VPCの最新設備を使用してリフレッシュを実施するというものだ。古いモデルを長年愛用するオーナーはもとより、中古車を手に入れたオーナーにとっても心強いサービスだ。対象車種は190クラス(W201)、Cクラス( 202シリーズ)、E クラス( 124、210シリーズ)、S クラス(126、140シリーズ)、SLクラス(R129)で、希望者は全国の正規ディーラーを通じて申し込みを行う。

1969年にヤナセに入社し、その後当時のこれらのモデルの新車整備を担当してきたレジェンドメカニックの今井広人氏はこのように語る。「ヤング・クラシック対象車は、中古車の相場としても手の出しやすい価格帯にあって、普通に乗れるのが魅力です。しっかりとメンテナンスをすれば嘘をつかない、期待を裏切ることはありません。飾るものではなくて使えるクラシックなのです」

日本には根付かないといわれてきた自動車文化だが、こうしたメーカーの取り組みによってきっと醸成されていくに違いない。いつの日か日本でもこのヤング・クラシックだけでなくクラシックセンターが開設されることを期待したい。
 

text/藤野太一
photo/郡 大二郎

※カーセンサーEDGE 2016年6月号(2016年4月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています