“フェラーリ▲【Ferrari SF90 Stradale|写真=柳田由人】

スクーデリア・フェラーリ90周年を記念した、フェラーリ史上最速モデル

フェラーリのデザインが変わった。最近、そう思われる方が多いのではないだろうか。ICONA SP1 / SP2に始まり、ローマ、295GTB、そして330P4オマージュと噂のICONA SP3と、往年のグラマラスで美しい肢体が帰ってきたようだ。

デザイン変化の画期となったのは、2019年5月に登場したSF90ストラダーレだろう。マラネッロはプラグインハイブリッドパワートレーンを積んだ新たな“フラッグシップシリーズ”をラインナップするにあたって、伝統と革新の再融合を試みた。

それは内燃機関オンリーの時代への離別であり、内燃機関無し時代を迎える前のノスタルジーでもあるように思う。つまり、近未来のフェラーリデザインは変わるという宣言だ。なぜなら過去のスタイリングを、特にスーパーカーカテゴリーにおいて決定づけてきたのは、内燃機関の大きさとそのレイアウトだったのだから。スーパーカーがスーパーに見えるカタチはひとえに、その巨大なエンジンをフロントもしくはリアのミッドにきっちり配置することから生まれたのだから。
 

フェラーリ SF90ストラダーレ ▲ファラーリ初の市販プラグインハイブリッドモデル。2シーターリアミッドシップレイアウトを採用する
フェラーリ SF90ストラダーレ▲フロントのモーターのみを使ったEVモード(eドライブ)で、最大25km走行可能となる

SF90以前の直近のフェラーリ、つまり458シリーズからF8シリーズまでのV8ミッドシップモデルや、カリフォルニア&ポルトフィーノ、F12&812シリーズといったV8もしくはV12のフロントミッドシップモデルを見ればわかるとおり、どちらかというと男性的でたくましいデザインが主流であった。ケン・オクヤマ率いるピニンファリーナチーム時代と比べてみれば、構えもより低く、精悍な顔つきで、肩幅も広く、筋骨隆々といったボールドさが前面に出ていた。フェラーリといえば“美しいデザイン”の代名詞だったけれども、いつの間にか“力強いデザイン”の代表格となっていたのだ。

理由はシンプルだ。21世紀になってから、フェラーリのマーケットに新たな参入が相次ぎ、パワー競走が激化した結果、エアロダイナミクスはもちろん、見た目の力強さも求められるようになったからである。現代のF1マシンを見れば分かるとおり、空力を制するひとつの手法はデバイスに頼ることでもあった。

もっとも、ロードカーの世界でどこまで本格的な空力導入が必要であるかについては議論が必要で、おそらくマラネッロは「最近の新型車は派手すぎる」というVIPカスタマーからの“苦情”を少なからず受け取っていたに相違ない。昔のようにシンプルな造形で、なおかつ現代的な空力要求に応えることこそがロードカーの目指すべき方向性である。そう考えた。
 

フェラーリ SF90ストラダーレ▲デザインはフェラーリデザインセンターが担当した。標準モデル(写真)に加え、さらにスポーティなアセットフィオラーノ仕様も用意される

SF90シリーズには、その一端を垣間見ることができる。

一見、F8シリーズとよく似たシルエットに思われるかもしれないが、この20年間のV8ミッドシップモデルとは一線を画するスタイリングとなった。シャープなエッジは極力廃されており、エアロデバイスも見た目にはわからない。けれども、ルーフからボディ後端にかけての処理は独創的であり、かつ、なまめかしささえ感じられる。なだらかな抑揚が連続する様子は往年の美しいフェラーリをも想起させる。それを可能にしたのは、V8パワートレーンを可能な限り低く積む工夫である。これは内燃機関の役割が減じる未来を想定したステップであると言えなくもない。そこから生まれる空力とデザインの妙がSF90のスタイリングを新しく、けれどもどこか懐かしい印象とした。

マラネッロは新たなスタイリングメソッドを実現するにあたって、明確な意思表示もデザイン上に表している。リアライトの形状である。シングル、ダブルにかかわらず、真円のテールランプをやめたのはいつ以来だろうか(30年前の348シリーズ以来か)。この手法は次世代のメインストリームである298GTBにも引き継がれた。

インテリアもデジタル化が進んで、過去とは違う意味でシンプルかつ見応えのあるコックピットデザインとなった。物理スイッチの減少は、それはそれで使い勝手に劣ることも多いが、いずれ音声認識による操作がメインとなることを考えれば、今は過渡期のデザイン処理だと言えなくもない。

かくして、SF90シリーズからフェラーリのデザインは間違いなく変わった。そして、フェラーリのエンジンヒエラルキーにも変化を見ることができる。電動化が進むことによって、おそらくFR2シーターモデルは徐々に行き場を失う。スポーツカーとして重いバッテリーを積む不利をしばらくは解決できないからだ。軽くて効率の良いバッテリーができるまで、FR2シーターのスポーツカーは成立しづらい。世の中のハイブランドがミッドシップ化を進めるひとつの要因である。
 

フェラーリ SF90ストラダーレ▲操作系にはタッチパネルを採用する、専用デザインのインパネ

フェラーリにおいてもSF90シリーズが新たなフラッグシップとなることは間違いない。黎明期からフェラーリの旗艦モデルとして君臨してきた伝統のV12FR2シーターモデルは、812シリーズで終了となる可能性すらある。なにしろ、SF90のパフォーマンスはV8ながら電気モーターを組み合わせることで、812シリーズを凌駕する圧倒的なパフォーマンスをすでに得ているのだから。

事実、その走りは衝撃的であった。0→100km/h加速2.5秒という実力がすべてを物語っている。マラネッロはデザインでも、そして性能でも別世界を切り開いた。それは、未来へと通じる道であった。
 

フェラーリ SF90ストラダーレ▲4L V8ツインターボに3つのモーターが組み合わせられた。左右前輪には独立したモーターが備わり、後輪をエンジンとリアモーターが駆動させる
文/西川淳、写真/柳田由人

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【試乗車 諸元・スペック表】
●フェラーリ SF90ストラダーレ

型式 7LA-173H 最小回転半径 -m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.71m×1.97m×1.23m
ドア数 2 ホイールベース 2.65m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.68m/1.65m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1940kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 -m
マニュアルモード    
標準色

ジアッロモデナ、ロッソスクーデリア、ロッソコルサ、ロッソムジェロ、ビアンコアヴス、ネロ、ブルーポッジ、グリジオイングリッド、グリジオアロイ、アルジェントニュルブルクリンク、グリジオチタニオ、グリジオシルバーストーン、ネロデイトナ、ブルーアブダビ、ブルーツールドフランス、ロッソディーノ、ロッソフィオラノ、グリジオフェロー、アヴォリオ、カンナ ディ フチーレ、グリジオスクーロ、ヴェルデブリティッシュ、ブルースコツィア、ブルースワター

オプション色

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※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております

型式 7LA-173H
駆動方式 4WD
ドア数 2
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ジアッロモデナ、ロッソスクーデリア、ロッソコルサ、ロッソムジェロ、ビアンコアヴス、ネロ、ブルーポッジ、グリジオイングリッド、グリジオアロイ、アルジェントニュルブルクリンク、グリジオチタニオ、グリジオシルバーストーン、ネロデイトナ、ブルーアブダビ、ブルーツールドフランス、ロッソディーノ、ロッソフィオラノ、グリジオフェロー、アヴォリオ、カンナ ディ フチーレ、グリジオスクーロ、ヴェルデブリティッシュ、ブルースコツィア、ブルースワター
オプション色 -
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 -m
全長×全幅×
全高
4.71m×1.97m×1.23m
ホイール
ベース
2.65m
前トレッド/
後トレッド
1.68m/1.65m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1940kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております
エンジン型式 - 環境対策エンジン -
種類 V型8気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 68リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 3989cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 780ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
800(81.6)/6000
エンジン型式 -
種類 V型8気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 3989cc
最高出力 780ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
800(81.6)/6000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 68リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -