ジャガーXJ【フルモデルチェンジ】
カテゴリー: ジャガーの試乗レポート
2010/05/26
サイズを感じさせない、しかし軽薄ではない身のこなし
↑クーペのようなルーフラインによる流れるようなシルエット(左)包み込むようなアーチを描く個性的なデザインの内装。ダイヤル式6ATはパドルでのマニュアル操作も可能(右)
68年の登場以来守り続けられたアイコニックな意匠を脱ぎ捨て、大変身を遂げたジャガーXJがいよいよ日本に上陸する。日本仕様のボディタイプはロングホイールベースと標準仕様の2タイプ。グレードは4種類が用意され、エンジンはチューニング違いで510ps/470psのスーパーチャージャー付き直噴、NAで385psの直噴と、3種類の5LV8が用意される。ミッションは全車ZF製の6速AT。その変速タイミングやスロットルマップ、サスペンションなどが統合制御されるスポーツモードが全車に装着されるあたりは、スポーツサルーンとしての明確な意向をにおわせる。
ボディは先代のX350系から継承するアルミモノコック製。が、リベット&ボンディングで構成されるその独特な工程はさらにリファインされ、さらなる軽量化と剛性の両立に加えて、製造時の消費電力の少なさにも配慮されている。加えて全素材の5割は再生アルミを使用するなど、燃費だけでなくライフサイクルレベルでの環境負荷低減にも貢献している点は注目に値する。
XJならではの走りと美しさ。新時代のラグジュアリーサルーン
↑立体的に見えるメーター類は、実はバーチャルなもの(左)ピラーと感じさせないほど鋭角なリアピラーの造形は、グラスエリアを美しく見せる効果が(右)
搭載されているエンジンにかかわらず、このアルミボディの恩恵は走り始めから一発で感じ取ることができる。転がり始めからの、上衣を一枚脱ぎ捨てたかのような軽さは同級のサルーンにはないXJならではの持ち味だ。そして、その軽さはジャガーの伝統としてすべてのプロダクトが目指すスポーツ性の要として、全域でXJの走りを支配する。その大きな体躯をすっかり忘れさせる身のこなしは、これまたライバル車には見当たらない美点といえるだろう。
だからといって乗り心地が軽薄だったり、入力のいなしが低級であったりという痕跡はまるで感じられない。アルミボディの癖であるいびつな共振感も、前コイル/後エアという変則的なサスペンションの悪影響も皆無。まさに動物の歩みを感じさせるそのしなやかさ、そして大きな衝撃を一発で抑え込む柔軟性の高さはジャガーに期待する乗り味そのものである。コーナリングは若干シャープさが強調されるきらいもあるが、ロール量は努めて一定かつその沈み込みすら気持ちよく思わせるあたりは、長年スポーツサルーンを手がけ続けるがゆえの老練な仕事といえるだろう。
伝統と革新が見事に融合したこのXJ、市場ではメルセデスやBMWだけでなく、パナメーラやクワトロポルテもライバルに見据えることになるはずだ。
SPECIFICATIONS
主要諸元のグレード | ポートフォリオ |
全長×全幅×全高(mm) | 5135×1900×1455 |
車両重量(kg) | 1850 |
エンジン種類 | V型8気筒DOHC |
総排気量(cc) | 4999 |
最高出力[ps/rpm] | 385ps/6500rpm |
最大トルク[kg-m/rpm] | 52.5kg-m/3500rpm |
車両本体価格 | 1000万~1755万円 |
ジャガーXJ【フルモデルチェンジ】/試乗レポート
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