ランエボのDNAを引き継ぎ「アウトランダーPHEVエボリューション」が登場?
2015/07/24
▲先日マイナーチェンジが行われたアウトランダーPHEV。新色として採用されたルビーブラックパールは、一見黒に見えるが光が当たると少し赤みを帯びる。これはランエボXの限定色ファントムブラックパールの応用だ
アウトランダー/アウトランダーPHEVに息づくランエボのDNA
“ファイナルエディション”をもって幕を閉じたランサーエボリューション。しかし三菱自動車の商品開発プロジェクトの渡邊さんは「ガソリン車としては終わりました」という言い方をする。
それはEVやPHEVといったカタチでランエボが復活するという意味だろうか? その疑問に渡邊さんは次のように答えた。
「いえ、まだ何も決まっていません。ただ技術開発は一度途切れさせてしまうと、再びやろうとしてもそう簡単にはできません。ですから、ランエボで培った技術をさらに進化させるべく、開発を続けています」
例えば、EVO-Xではボディ剛性向上のためにスポット増し打ちの点数が年式ごとに増やされるなど、溶接技術の開発が間断なく行われた。その技術の進化形として連続シーム溶接という技術が確立され、コルト ラリーアートバージョンRスペシャルに採用されている。
▲2008年5月と2010年2月に、それぞれ限定300台、200台で販売されたコルト ラリーアートバージョンRスペシャル
一方、EVO-XのDNAの核でもあるS-AWC(Super All Wheel Control system)は、アウトランダー/アウトランダーPHEVに受け継がれている。
アウトランダーPHEVの開発を担当した商品開発プロジェクトの上平さんは、ランエボXの開発に長らく関わっており、アウトランダーPHEVのツインモーター4WDの性能に目をつけて、S-AWC化した張本人でもある。従ってEVO-Xとコンセプトは同じだ。
そもそもS-AWCとは、“最適”なトルク配分やブレーキ制御を軸とした高度な統合制御により、様々な走行状況で、ドライバーの操作に忠実な車両挙動を実現するシステム。“誰もが安心して気持ち良くドライブできる”ことを狙ったものだ。しかしその制御の“最適”の解は車によって異なる。ランエボの場合は「より速く曲がる」で、アウトランダーの場合は「より安全に曲がる」ことだ。
サーキット場や雪道などでタイヤが1本グリップを失った際、ランエボなら「より速く」、アウトランダーなら「より安全に」走るためには、残りの3輪のトルク配分をどうすればいいかを瞬時に判断し制御するというわけだ。
別の言い方をすれば、S-AWCは「より速く」や「より安全」といった具合に目的に合わせ、4輪を自在に操ることが可能だということ。しかも「アウトランダーPHEVは前後独立した駆動源を持つツインモーター4WDを採用しているので、電気信号によって、EVO-Xより自由自在にトルク配分や量を制御することが可能です」と上平さんは言う。
アウトランダーPHEVエボリューションが待ち遠しい
さらに上平さんは「EVやPHEVはモーター走行を基本としています。モーターの基本特性として、ディーゼルやターボエンジンよりもトルクの立ち上がりが圧倒的に速いことがあります。この基本特性を最大限に生かせばガソリン車よりも速くすることはいとも簡単にできます」と、その可能性を語る。
しかも、アウトランダーPHEVはリチウムイオン電池を床下に収納したことで、セダンに近い低重心となっている。つまり“ランエボより速くなる”ポテンシャルを秘めているというわけだ。
すでにアウトランダーPHEVは東南アジア最大のラリー「アジアクロスカントリーラリー」に2013、2014年出場し完走。今年も参戦予定だ。さらにポルトガルで開かれるクロスカントリーラリー「バハ・ポルタレグレ500」にも参戦が決まっている。
これまで数々のレースに出場し、そのフィードバックを元に改良を重ね続けてきたランエボ。そのDNAを受け継ぐアウトランダーPHEVが、まさに同様の道を進みつつあるかのようだ。
かつてラリー参戦用にパジェロの進化版であるパジェロエボリューションを販売していた同社だけに、アウトランダーPHEVに、エボリューションが登場してもおかしくない。
▲1997年に登場したパジェロエボリューション。新開発だった3.5Lエンジンを軽量化&高剛性化したボディに搭載。この車をベースにパリダカに参戦した
もしランエボのDNAを受け継いだアウトランダーPHEVエボリューションが登場すれば、ポルシェ マカンあたりを脅かす存在になるだろう。ランエボは終わってしまったが、そのDNAは生き続けている。そしていつかは、きっと花が開くはず。その登場が今から待ち遠しい。
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