’92 MERCEDES-BENZ E-CLASS(W124)【EDGE/名車への道】
カテゴリー: クルマ
タグ: メルセデス・ベンツ / セダン / 男性向け / AT / EDGEが効いている / VINTAGE EDGE / 名車への道
2017/01/15
▲1991年から1995年まで発売されたミディアムサイズセダンのW124に用意された325psのV8エンジンを積んだスポーツグレード。当時アメリカで人気だったSL500の4ドア版を望む声に応えて作られたとされ、開発や生産にはポルシェが深く関わっていた。前期モデルを500E、後期モデルをE500と車名を呼び分ける場合もある。各部の作りの良さはメルセデス・ベンツの「古き良き時代」と評価する人も多い。クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにもこれから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを探ってみたい
メルセデスの古き良き時代を代表する名サルーン
EDGE:今日の名車なんですけど、よくお邪魔しているヴィンテージ湘南さんに500Eがあるんです。
松本:程度良さそうだね。今まで紹介したことなかったし、少し変わった歴史のあるモデルだから良いんじゃない。
EDGE:確かに取り上げたことなかったですね。あれってV8が搭載されているんですよね。乗ってみてどうでした?
松本:僕が乗ったモデルは最初期型だったけど、まったく300Eとは別モノでさ。フロントにあんなに大きなエンジンを積んでいるにも関わらず、バランスがいいんだよね。メルセデス・ベンツのサスペンションじゃない感じがしたよ。ちょっと硬め、でも振幅をすんなりと減衰して、それでいてハンドリングに影響を与えない感じはまさにスポーツサルーンだよね。
EDGE:僕も乗ったときに思ったのが、安心感があってしっかりした印象でしたかね。あれってどこまでポルシェでやったんですか? エンジンなんかも違うんですか?
松本:メルセデス・ベンツって大きなモデルに大きなエンジンを搭載してパワーで引っ張るような考え方があってね。もともとサルーンの場合は大きなエンジンを搭載した方が乗り心地は断然良いんだよ。でもメルセデス・ベンツの場合は乗り心地というより、大きなエンジンのトルクで加速力を高めたかった。60年代の300SEL6.3や70年代の450SEL6.9なんかはまさに空気抵抗をモノともしないで押して走るようなイメージだよね。
EDGE:今回見に行こうとしている500Eはどんな考え方で計画されたんですかね。
松本:メルセデスは鈍重なサルーンじゃなくて、当時新しく設計されたDOHCのV型8気筒を搭載した軽快なスポーツサルーンを作りたかったんだと思うよ。ミディアムサイズのメルセデスは大きなエンジンを搭載して、例えばワインディングであっても気持ちよく走らせられる、ちょうど良いサイズだったんじゃないのかな。
EDGE:89年に登場した500SLのエンジンをそのまま載せたらしいですけど……。
松本:500SLに搭載したエンジンをポン付けというわけにはいかないよ。W124はエンジンルームを見て分かるとおり、V8を搭載するような設計になっていないんだ。だから500Eはどこかのチューナーが押し込んだんじゃないかと思うくらいビッシリ詰まっているでしょ? でもそこは自動車メーカーだからね、ちゃんと作っているわけだ。その設計に参画したのがポルシェ社だったんだよ。メルセデスとポルシェは同じシュツットガルトだしね。ポルシェはエンジニアリング会社もあるから依頼したというわけじゃないかな。
EDGE:なるほど。あ、車はアレですね。遠くから見ても存在感ありますねぇ。
松本:ちゃんと整備されている感じがするよね。手を入れた車は若々しいというか、凛としているよね。
EDGE:この時代の車って、今見てもサイズがすごくコンパクトで、今の時代でもちょうど良い気がしますよね。ところで、ポルシェが関わったのはどの辺なんですか?
松本:どこがじゃなくて全部に関わってるんだよ。例えばバルクヘッドなんか別もんなんだ。エンジン、ステアリング、サスペンションをSLのコンポーネントと協調するとか、設計からポルシェが請け負ったんだよ。フロントがワイドになったのもSLのサスペンションアームを使ったりしたからなんだ。
EDGE:じゃぁフロアからフロントまわりはW124といっても別の車、ということですか?
松本:そういうことなんだよ。ただ載せるだけではなくハンドリングなどもスポーツサルーンに相応しいシャシーにしなければならない。その試験もポルシェがヴァイザッハのテストコースで行っていたんだ。有名な話だけどこの当時ポルシェ社は生産ラインに余裕があって、初期の500Eだけはポルシェのツッフェンハウゼンの本社工場で組み立てたといわれているけど、実際には最終型までポルシェで生産されたんだ。すべての500Eはツッフェンハウゼン本社工場製となるんだよ。
EDGE:じゃ別に初期型も何もないじゃないですかね。
松本:まぁそういうことになるね。いずれにしても希少なモデルであることには間違いないし、メルセデスでは出せないハンドリングと乗り味も間違いない。今でも良い個体があれば欲しい1台だね。





【関連リンク】
※カーセンサーEDGE 2016年10月号(2016年8月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
あの名車は今? その後継モデルたちは……20年という時の流れは車をどう変えたのか。SL、ムルシエラゴ、911…
アコードの平均総額が1年で60万円以上ダウン! プレリュードが気になるけど実用性も欲しい諸兄にオススメのフラッグシップセダン
M・ベンツのセダン狙いのあなたに推したい“粋な別解”4ドアクーペ CLSクラス。新車で1000万円超えが今中古車なら総額300万円台! オススメの選び方は?
メルセデスの名車に乗る|W201型からSLS AMGへ。“ネオクラとAMG覚醒”をいま読み解く【カーセンサーEDGE 2026年1月号】
優先すべきはヘリテージか 経済効率? マセラティのモデナ回帰にみるブランドの価値とは【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
R32型 スカイラインGT-Rが50万円から? あの時買っときゃ良かった……のモデルを振り返り“後悔を楽しむ”
新型CX-5が待ちきれないあなたに贈る「納車までの期間、代わりにコレどうですか?」5選
新型日産 エルグランドの発売が待ちきれないあなたに贈る「代わりにコレ、どうですか?」5選
“いまは”日本未導入のGAC(広州汽車集団)AION Y Plusに試乗してきた!
プロショップで聞いた600万円前後で狙える初代 ポルシェ マカンのリアル! 狙うは前期型の高性能グレードか? それとも後期型のベーシックグレードか?









