ある意味フェラーリやランボルギーニより希少な国産スーパースポーツ、ホンダ NSX【EDGE’S Attention】
2021/02/03
▲2016年に発表、11年ぶりに復活した2代目モデル。3.5Lツインターボと3つのモーターを組み合わせたスポーツハイブリッドSH-AWDを採用したスーパースポーツだ世の中には、こだわりすぎ、コスト度外視、先進的、独創的すぎというモデルが存在する。当然、多くの人が購入できるような大衆性は低い「癖強モデル」。まさにエッジィな一部の人にだけ強烈にぶっ刺さるモデルだ。
そんなエッジィなモデルにEDGE編集部から「アテンション プリーズ!」。
今回はミッドシップスーパースポーツ、2代目となるホンダNSXをお届けする。
進化を続ける“スポーツカー”
確かにデビュー当初の開発責任者は日本人ではなかったけれど、だからといってそこにホンダイズムが見当たらないという話にはならない。フェラーリにだってイタリア人以外はごまんといる。突っ込みどころがあるとすれば「米国産であること」だが、専門メーカーならまだしも、ホンダというジェネラルブランドの特殊な車両である。純血主義にこだわるとそもそも立ち行かない。
2021年1月の段階でホンダの公式サイトでNSXのページを開くと、「現行モデルの販売は終了いたしました」という赤字の文言を価格の下に見つけることになる。これは2代目の販売が終わったというわけではなく、あくまでも年次モデルの受注が終わったということ。またしばらくすれば新しい色でもまとって、もしくは大なり小なりの改良を伴って、再販されることになるだろう。
NSXはデビュー以来、スポーツカーらしく進化をやめてはいない。そう聞いて「なぜ?」と思った方は、NSXはデビューしてまだ間もないのに……と“何となく”思っている人たちだろう。これはある意味仕方がない。輸入される台数が年間生産台数の約5%、100台程度といわれているから、街中で遭遇する機会はフェラーリ(輸入台数約500台)やランボルギーニ(同約300台)よりも少ないのだ。見かけないモデルは古くならないものなので「え? もう改良しちゃうの?」、という反応になる。実際には16年8月に日本デビューだったから、すでに5年目に入っている。
もっとも、年次改良は欧米ブランドの常ではあるし、日本でも採用するブランドが増えてきた。毎年積極的に改良を加える日産GT-Rのような例もある。もちろん、どんなモデルでもいわゆるランニングチェンジはあるもので、人知れず細かな部分が改良されていた、などということはよくある話だ。
スーパーカー界に詳しい人の反応はまた少し違うと思う。年産2000~3000台レベルのモデルの場合、内外装の変更や走りの性能に関わるような改良は4~6年に一度のマイナーチェンジだけ、だ。ランニングチェンジはあるし、しばらくぶりに乗ると完成度が上がっていて印象が変わったということもありがちだが、具体的にその内容が発表されることはない。そうしないと先に買った顧客に申し訳が立たないからだ。
つまり、スーパーカー好きにとっては年次改良というシステムそのものに是非が生じてしまう。良くなればなるほど「最初からそうしろよ」と言われるのだ。顧客のロイヤリティを損なわないためにもスーパーカーブランドの多くは改良型の追加に慎重で、実際、「そろそろ新しいのが出るかも」と初期型オーナーたちが進んで思い始めたときを見計らってマイチェン版が登場する。経過年数や累計の生産台数を考慮しつつ、カスタマーに納得して乗り替えてもらえるタイミングを計っているのだ。
▲こちらは2019年12月に発表された2020年モデル。価格は2420万円
▲スポーツハイブリッドSH-AWDと呼ばれるハイブリッドシステムは、V6ツインターボにクランクシャフトに直結し後輪をアシストするモーターと、前輪をアシストする左右独立した2つのモーターの組み合わせ。トランスミッションは9速DCTが採用されている
▲2020年モデルのボディカラーには、存在感や世界観、観る・所有する喜びのさらなる醸成を図ったという、エキサイティングカラーシリーズの第2弾となる「インディイエロー・パールⅡ」が用意された立ちはだかるのは“断絶”と“偉大すぎる初代”
2代目NSXは、決してデキの悪いスーパースポーツではない。むしろ上出来だけれどもNSXを名乗ったがゆえ賛否両論を巻き起こしたように思う。
偉大すぎる初代の存在がまずは立ちはだかった。成功した初代はいつだって偉大で、問題はその財産をどう引き継ぐか。NSXの場合、06年に初代が生産を終えてから、次世代の登場が12年にアナウンスされるまで6年の断絶があった。さらに、正式デビューまで4年もの歳月を要した。つまり、NSXというスーパースポーツの新車が存在しない期間が実に約10年にも及んだのだ。
偉大な初代をいきなり超えることは難しいもの。だからこそ何かを引き継ぎ、何かを捨てながら、スポーツカーは進化しなければならない。その残す何かが後々ブランドの真髄となり、DNAだと呼ばれることになる。断絶さえしなければ徐々に進化させていくことが可能だった。
価格だってそうだ。NSXにしては高すぎるという人がいる。そりゃそうだ、みんなそうなっているのだから。初代が誕生した頃のフェラーリV8ミッドシップモデルの価格も今や倍以上である。軽自動車だってそうだ。NSXだけが不当に高くなったとは言えない。不当に高いと思わせる状況を、モデルの断絶が生んでしまっただけなのだ。
▲前方視界など視認性の良さや直感的に使うことができる操作系など、「人間中心のスーパースポーツ」をコンセプトとしたインテリア
▲走行シーンに合わせ、Quiet、Sport、Sport+、Trackの4つを備えたインテグレーテッド・ダイナミクス・システムを搭載。モードによってメーター表示も変更される
▲ミッドシップには、NSX専用に開発された、最高出力507ps/最大トルク550N・mを発生する3.5L V6ツインターボを搭載デビュー当初には「レジェンドみたいな内装でまるで2000万円級のスーパーカーらしくない」などとも酷評されている。当たり前である。ホンダのフラッグシップサルーンと同じ系統のデザインが採用されていなかったとすれば、それこそブランドとして大問題だ。NSXはホンダ(アキュラ)であって、それ以外の何物でもない。
恐らく現行型は初代NSXの志を受け継ぎ、よりツアラー色を強めたミッドシップスーパースポーツを目指して開発されたのであろう。もちろん北米市場の要望も大きい。そのことは室内の幅の広さやトランクルームにもよく現れている。それは間違っていなかった。
残るもうひとつのNSXらしさ=スポーツカーとしての存在感を、今、煮詰めている最中だとみる。当初に比べてより一層ドライバーオリエンテッドなハンドリングマシンになってきた。公式サイトで次にまた“販売終了”のフレーズの消える日が待ち遠しい。
▲280psの3L V6エンジンを搭載したミッドシップモデルが、1990年に登場した初代のNSX。発表時の価格は5MTモデルが800万3000円(東京価格)であった
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
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この記事で紹介している物件
ホンダ
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ホンダ
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