【功労車のボヤき】丸~い時代の今だからこそ、四角い主張が新鮮なのだ、と信じたい。ジープ コマンダー(初代)
2022/04/01
▲スクエアなボディのコマンダーが今回の主人公です
――君には“車の声”が聞こえるか? 中古車販売店で次のオーナーをじっと待ち続けている車の声が。
誕生秘話、武勇伝、自慢、愚痴、妬み……。
耳をすませば聞こえてくる中古車たちのボヤきをお届けするカーセンサーEDGE.netのオリジナル企画。今回は、スクエアなボディが原点回帰だと話題を呼んだジープ コマンダーが物申す!!
自分は他人とは違うと、みんなが思っている
都会の幹線道路沿いにあるSUV専門店……。
おいらが、このショップの片隅に展示されてから、ずいぶんと時が経った。
SUVブームとやらで、人気の四駆たちは次から次に売れていく。あぁ、それなのに、おいらときたら、まるでペットショップで売れ残って大きくなっちまったハスキー犬みたいな気分だぜ。
かつては、ジープ家のフラッグシップモデルとして君臨した、このおいらが……。
あぁ、またランクルが売れていった……。
おぉ、メルセデスのGクラスも売れていった……。
SUVや4WD車が人気なのは、誰もがアウトドアを満喫したい、道なき道をワイルドに駆け巡りたい、と願っているからではない。そうだろう?
オフロードを走り回ってボコボコになったSUVなんて、めったに見かけないじゃないか。
みんな「自分は他人とは違うのだ!」って自己アピールのために、フツーの人(=フツーのセダン)とは違う車としてSUVや4WD車を選んでいるにちがいないのだ。
だけどさ……。
「自分は他人とは違うのだ!」と、みんながそう思っているわけだから、結果的には
休日のサービスエリアはSUVだらけ。夜の六本木なんて、Gクラスだらけだぜ。
自分も他人も同じじゃねぇか!
かつてバブル華やかりし頃には、ビーエムが“六本木のカローラ”なんて呼ばれたらしいが、おいらは今どきのGクラスを“六本木のジムニー”と呼んでやろう、悔しいから。

ルーツはジープ好きなら誰もが憧れる、あの……
おっと、自己紹介が遅くなっちまった。ってか、自己紹介しないとわかってもらえない状況が、すでにトホホなわけだけど……。
おいらの名は、ジープ コマンダー。
デビューは2006年。ジープ家初の3列シート7人乗りで、さっきも言ったけど一族のフラッグシップモデルだったんだぜ。
どうよ、この威風堂々とした立ち姿、そして面構え!
チェロキーやグランドチェロキーといった兄弟たちが、どんどん丸みのある洗練されたデザインになっていく中で、おいらだけは角張ったデザインにこだわった。
▲こちらが2001年10月~2008年5月まで生産されていたチェロキー実際のサイズはグランドチェロキーとたいして違わないのに、スクエアなボディのおかげでより大きな車に見えるだろう?
なんたって、おいらのデザインのルーツは、ジープ好きなら誰もが一度は憧れる、あのグランドワゴニアなのさ。
な、そう言われてみれば、「おぉ、たしかに四角くて大きくて、まさに往年のグランドワゴニアだ!」と思うだろ?
▲角ばったボディなどコマンダーと通ずる部分があるグランドワゴニアおいらの悲劇は、そう言われてみないと誰もそう思ってくれなかったこと……。
ジープ一族のプライドを背負って登場したおいらだったけど、なにもかもが丸くなっていく世の中で、四角四面の実直さはなかなか理解されなかった。
かくして、デビュー3年後の2009年には生産中止……。
余裕の走りに、見上げる空も広々
エンジンは、クライスラーのマッスルカーで名をはせた5.7LのV8 「HEMI」を搭載(4.7Lエンジンの弟もいる)。
車両重量が2300kgもあるマッチョなおいらだけど、ハイパフォーマンスを誇るHEMIエンジンのおかげで、一般道でも高速道でもアメ車らしい余裕のクルージングを楽しむことができる。
▲5.7L HEMIエンジンは最高出力326ps、最大トルク500nN・mを発生もちろんジープだもの、オフロードが得意だってことは言うまでもない。もしも、キミが六本木だけでなく道なき道もワイルドに駆け巡りたい、と願うなら、どこまでもお供するぜ。
おいらがジープ家のフラッグシップたるゆえんは、力強い走りだけじゃない。
セカンドシート上部に設けられたグラスルーフは、その名も「コマンドビュー」。フロントにはスライディングルーフもある。四角いルーフだからこそ、見上げる空も広々ってわけさ。
▲通常のサンルーフに加え後席部分にもグラスルーフが備わる3列シートも自慢のひとつではあるけど、正直、大人が座るには、ちと狭い。その代わりと言っちゃなんだが、サードシートは荷室のフロアに完全に収納できるから、5人乗車なら荷物をたっぷり積め込める。
▲シートがフラットになるため積載性能は高い走りがよくて、雰囲気がよくて、使い勝手だっていい。
あぁ、それなのに販売期間は、わずか3年余り……。フラッグシップとはいえ、700万円近い新車価格が強気すぎたのか?
▲インテリアにはレザーや木目調のパネルなどが使用されているフツーではないSUVを探している貴兄へ
おいらが、このショップの片隅に展示されてから、ずいぶんと時が経った。
が、最近はおいらのことを興味深そうに見つめる連中が増えてきた。どうやら、フツーではないSUVを探しているらしい。
700万円もしたジープ家の最上級モデルが、今や軽自動車並みの値段で手に入る。そして同じ車と街ですれ違うことは、ほとんどない。ましてや、六本木のジムニーだなんて呼ばれることもない。
個性を主張したいなら、最高の選択のはずさ。誰よりも、おいら自身が「自分は他人とは違うのだ!」と主張し続けてきたわけだから。
おいらの名は、ジープ コマンダー。
丸~い時代の今こそ、四角い主張を。もしも貴方が、他人と一緒の車じゃなきゃイヤだ! とおっしゃるなら……どうぞ、新車のGクラスでも。
▼検索条件
ジープ コマンダー(初代)×全国
ライター
夢野忠則
自他ともに認める車馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。 現在の愛車は2008年式トヨタ プロボックスのGT仕様と、数台の国産ヴィンテージバイク(自転車)。
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