I 邸・おもてなしのガレージのある家 + 秋田憲二
カテゴリー: カーライフ
タグ: EDGEが効いている / ガレージハウス
2013/06/21
居心地バツグンのガレージサロン
長いスロープは車高の低いスポーツカーに対応するため。そのアプローチの先は、まさに夢の世界。
車、オートバイ、雑貨…大好きなモノに囲まれる至福の空間だ
すべては大切な友人たちをもてなすために…
カーフリークが憧れるガレージには、いろいろな形態がある。自動車修理工場と見まがうほどの設備が整ったものもあれば、磨き上げられたショーカーを演出するかのような照明が施されたもの。そして、多くの仲間がいつも出入りできるよう過ごしやすさを第一に設計されたものなど。今回訪れたガレージは、まさに人が集まる空間を目指して作られていることが特徴。
場所は、横浜屈指の高級住宅街。ただし、このI邸は単なる一戸建てではなく、6階建てのビル。1階から4階までをテナントに貸し、Iさんの住居は5階と6階。そしてガレージは、広大な地下をすべて独り占めというわけだ。
ゆるやかで長いスロープを下りガレージへと向かう。このスロープは、以前にフェラーリを購入した際に「フロアを擦らずに入れられるように…」と設計されたもの。ディーラーマンには「地下駐車場は難しいですよ」と言われていたが、長いアプローチが可能な広い敷地ゆえ実現した。
二重シャッターをくぐりガレージスペースへ。そこには想像を超える世界が広がっていた。正面にはなんとスターバックスが忠実に再現されたコーナーが。その横には大きなソファを備えるミニシアター。そして手前の空間に、Iさんの愛車たちが整然と並ぶ。ここまでのアクセスは一般的なビルの地下駐車場という印象だったが、足を踏み入れた瞬間に広がる独特の世界観に、しばし足が止まってしまう。
設計は、建築家の秋田憲二さん。設計に着手する際のIさんからの依頼事項は?
「まず、フェラーリを買うことがわかっていたので、スムーズに入れるアプローチです。また、多くの友達と車を眺めながら楽しく過ごせるような空間です。いつもいろいろな車が出入りしているのでターンテーブルも必須でした」
そのためにガレージ入り口は広いスペースを開けてあるわけだ。ところで、このスターバックス風コーナーのバーカウンターは?
「これも私が設計しました。Iさんはスターバックスの愛好家で、棚もすべてオーダーメイドです。Iさんは人が集まることが大好きなので、このカウンターの中に入りバリスタになってもてなす…というコンセプトです」
雑貨を輸入販売しているIさんだけに、各所に設けられた棚には食器からフリスビー、各国のコーラ、ミニチュアカーなどがところ狭しと、しかし整然と計算されて並んでいる。マニアならずとも、しばし見入ってしまう壮観さだ。
居住空間へはガレージ入り口の専用エレベータで向かう。コンクリート打ち放しの雰囲気は、まるで地下の秘密基地から地上へと上がっていく感覚。5階で降りると広いリビングルームがあり、2頭の大型犬が迎えてくれた。Iさんに促されテラスに出てみると、そこには広大な屋上庭園が。5階から4階の屋上へ下りる階段と、ほぼ360度広がる視界、そしてきれいに剪定された植木が相まって、まるで美術館の庭園を訪れたように錯覚する。
「壁面緑化と屋上緑化など、地球環境問題に対応する作りは、私の作品ではすべて取り入れています」
と、秋田さん。I邸は築7年が経過しているが、この緑がちょうどよく成長し、いっそう過ごしやすい雰囲気を作り上げている。
6階は完全なプレイルーム。Iさんが「おもてなしの部屋」と呼ぶとおりライブができるほどの楽器やビリヤード台などを設置。さらに広いテラスにはジャグジーやバーベキューコンロなども備えられているから、1年を通していつでもお客様を迎えられる態勢だ。
数多い友人をもてなし喜んでもらうための仕掛けや作りが至るところに備えられている。まさにIさんの人柄がそのまま形になった、そんな印象のI邸であった。
「I邸・おもてなしのガレージのある家」
建築家:HAK CO.,LTD/秋田憲二
tel.044-888-4447 http://www.hak-web.com
主要用途:専用住宅 構造:鉄筋コンクリート造
敷地面積:960.29㎡ 延床面積:656㎡
設計・監理:HAK CO.,LTD/秋田憲二
文・菊谷 聡 text / KIKUTANI Satoshi
写真・木村博道photos / KIMURA Hromichi
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
あの名車は今? その後継モデルたちは……20年という時の流れは車をどう変えたのか。SL、ムルシエラゴ、911…
メルセデスの名車に乗る|W201型からSLS AMGへ。“ネオクラとAMG覚醒”をいま読み解く【カーセンサーEDGE 2026年1月号】
優先すべきはヘリテージか 経済効率? マセラティのモデナ回帰にみるブランドの価値とは【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
R32型 スカイラインGT-Rが50万円から? あの時買っときゃ良かった……のモデルを振り返り“後悔を楽しむ”
“いまは”日本未導入のGAC(広州汽車集団)AION Y Plusに試乗してきた!
プロショップで聞いた600万円前後で狙える初代 ポルシェ マカンのリアル! 狙うは前期型の高性能グレードか? それとも後期型のベーシックグレードか?
600万円台で買えるアストンマーティンはアリか? プロフェッショナルに聞いてきた真実!
「20年後も残る車、消える車」とは? 創刊20年を機に真剣に考えてみた【カーセンサーEDGE 2025年12月号】
“日本の誇り” 日産 R35 GT-Rは果たしてスーパーカーなのか?【スーパーカーにまつわる不思議を考える】
’07 フェラーリ F430|空力とヘリテージが息づくV8ミッドシップ【名車への道】













