▲人気モデルがフルモデルチェンジすると、数ヵ月後に旧型の中古車流通量が急増。その結果、相場が下がりお買い得な中古車を見つけやすくなります! ▲人気モデルがフルモデルチェンジすると、数ヵ月後に旧型の中古車流通量が急増。その結果、相場が下がりお買い得な中古車を見つけやすくなります!

おいしい中古車を買いたいなら、相場が急落するタイミングを見逃すな!

サイクルは車種により大きく異なりますが、車は登場してから時間が経つと、新しいモデルに変わります。この変更を大きく分けると、プラットフォームや搭載エンジン、デザインなど、車自体が大きく変わるフルモデルチェンジと、デザインの一部や装備などが変わるマイナーチェンジの2種類があります(他に車両の一部に変更が施される一部改良もあり)。

フルモデルチェンジが施されると、それまで発売されていたモデルは“旧型車”という扱いになります。そして現行型から旧型に変わると、中古車相場は値下がり傾向になるのです。ここでフルモデルチェンジで旧型の中古車が安くなるメカニズムを解析してみましょう。

①新車ディーラーの展示車や試乗車が中古車市場に放出される
新車ディーラーではショールームの展示車両、試乗に使う車両が用意されています。フルモデルチェンジが行われるとこれらの入れ替えが行われ、これまで使っていた車両が中古車市場に出てきます。

ひとつのお店にある車の台数は多くても数台ですが、すべての新車ディーラーで入れ替えが行われるため、台数増加はかなりの量になります。展示車や試乗車は走行距離が少なく、またディーラーできちんと管理され必要な整備も受けているので、状態のいい中古車が多いのが特徴です。

②新型への買い替えによる下取りで中古車流通量が増える
新車ユーザーには、フルモデルチェンジが行われると新しいモデルに乗り替える人がかなりいます。とくにフルモデルチェンジ直後は新型車に乗り替える人が集中。そしてこれまで乗っていた車(旧型車)は下取りされるため、フルモデルチェンジ後は旧型の中古車台数が増加します。

③レンタカーの入れ替えが行われる
みなさんご存じのとおり、レンタカーは時間単位で車をレンタルするシステムです。必要なときだけ車を使えるので車をもっていない人も多く利用しますが、メーカーの立場から見るとレンタカーは宣伝の一つにもなっています。利用した人がその車を気に入り、新車購入を考えたときに候補に入れてもらおうという狙いですね。

そのため、とくにメーカー系のレンタカー会社ではフルモデルチェンジが行われると順次車両の入れ替えが行われ、これまで使われていた車は中古車として市場に放出されます。

④現行型に乗りたい人が注目しなくなる
車種はもちろん、価格や年式、走行距離など、中古車探しは人により様々な条件があります。そして“現行型”を条件に中古車を探している人も一定数います。この場合、フルモデルチェンジすると条件から外れるため、注目度は現行型だったときよりも下がってしまうのです。

相場は需要と供給のバランスで決まるというのは世の常。中古車だって例外ではありません。流通量(供給)が増えるのに注目度は現行型だった頃より下がるため、必然的に中古車相場は下がるわけです。中には平均価格が上昇するモデルもありますが、これは上にあるメカニズムの①が顕著に現れ、高年式低走行の中古車が急激に増えたから。平均価格という見た目の数字は上がっていても、お得な中古車は確実に増えていますよ。ここで、フルモデルチェンジが過ぎ、がぜんおいしくなっている中古車を紹介しましょう。

スバル インプレッサスポーツ(初代)


平均価格上昇の波が落ち着き、急激に値落ち

▲室内の広さや水平対向エンジンならではのスポーツ性など、他のモデルとは一線を画すインプレッサスポーツ。排気量は1.6Lと2L。2015年6月には、ハイブリッドモデルも追加されました ▲室内の広さや水平対向エンジンならではのスポーツ性など、他のモデルとは一線を画すインプレッサスポーツ。排気量は1.6Lと2L。2015年6月には、ハイブリッドモデルも追加されました
▲フルモデルチェンジされた2016年10月から年末にかけてE型(年式が新しい)の流通量が増えたため中古車相場は上昇。その波も落ち着き、現在は急速に値を下げています。2014年10月までの年式の古めのA~C型(年式が古め)の1.6L車なら車両本体価格100万円以下の中古車も見つかりますよ! ※グラフの単位は万円(車両本体価格) ▲フルモデルチェンジされた2016年10月から年末にかけてE型(年式が新しい)の流通量が増えたため中古車相場は上昇。その波も落ち着き、現在は急速に値を下げています。2014年10月までのA~C型(年式が古め)の1.6L車なら車両本体価格100万円以下の中古車も見つかりますよ! ※グラフの単位は万円(車両本体価格)


2016年10月にフルモデルチェンジしたインプレッサのハッチバックモデル。旧型は2011年12月にデビューしました。多くのメーカーはモデルチェンジの間にマイナーチェンジを行い、あとはごく小規模な改良を施しますが、スバルはおよそ年に一度改良を施し車を熟成させていく“年次改良”の方式をとっています。マニアの間ではフルモデルチェンジ後のモデルをA型、以降は年次改良が施されるたびに、B型、C型……と呼ばれていきます。

先代インプレッサスポーツは2L車のアイサイトがカラーカメラを搭載するver.3になったD型の2.0iアイサイト4WDは車両本体価格200万円から、最上級グレードのハイブリッド2.0i-Sアイサイト4WDは車両本体価格210万円から見つかります。アイサイトがver.2でもOKならA型の2.0iアイサイトがオススメ。車両本体価格120万円前後のものも出てきています。

中古車相場:90万~250万円
流通量:約540台
 

ホンダ フリード(初代)


居住性は現行型に引けを取らない!

▲コンパクトミニバンとは思えない室内空間の広さに定評があるフリード。3列目に大人3人が座れるシートを設定(2011年10月以降は2人掛けに変更)し、ライバルに差をつけました ▲コンパクトミニバンとは思えない室内空間の広さに定評があるフリード。3列目に大人3人が座れるシートを設定(2011年10月以降は2人掛けに変更)し、ライバルに差をつけました
▲高年式車の増加によりフルモデルチェンジ後は平均価格が上がったものの、すぐに元に戻りました。低価格帯はこれ以上値落ちするのが難しいところまで下がっているため平均価格は横ばいになっていますが、総額50万円以下で買える中古車をはじめ、割安感は高まっています。※グラフの単位は万円(車両本体価格) ▲高年式車の増加によりフルモデルチェンジ後は平均価格が上がったものの、すぐに元に戻りました。低価格帯はこれ以上値落ちするのが難しいところまで下がっているため平均価格は横ばいになっていますが、総額50万円以下で買える中古車をはじめ、割安感は高まっています。※グラフの単位は万円(車両本体価格)


1.5Lクラスのコンパクトミニバンであるフリード。この市場はトヨタ シエンタとフリードがしのぎを削っていますが、2015年にシエンタがフルモデルチェンジするまでは、フリードが圧倒的に優位に立っていました。

現行型は初代以上に2列目、3列目の居住性が向上していますが、旧型だって短時間の移動に使うと割り切れば3列目席に不都合はありません。2011年10月のマイナーチェンジでハイブリッドモデルも追加されています。ガソリンモデルは30万円から、ハイブリッドモデルは100万円から中古車が見つかります。

中古車相場:30万~220万円
流通量:約1560台
 

メルセデス・ベンツ Eクラス(4代目)


フルモデルチェンジによる平均価格の下げ幅は130万円以上!

▲先進安全技術がふんだんに盛り込まれた現行型に注目が集まったことで、旧型Eクラスは急速に値落ち。2009年式や2010年式だと200万円以下の中古車もあります! ▲先進安全技術がふんだんに盛り込まれた現行型に注目が集まったことで、旧型Eクラスは急速に値落ち。2009年式や2010年式だと200万円以下の中古車もあります!
▲フルモデルチェンジと同時に相場が急落。今や4代目Eクラスの平均価格は288.8万円に(2017年2月末時点)。前期型なら車両本体価格200万円以下の中古車もかなりあります。しかも走行距離は10万km未満! Eクラスにこの値段で乗れるなんて、信じられますか!? ※グラフの単位は万円(車両本体価格) ▲フルモデルチェンジと同時に相場が急落。今や4代目Eクラスの平均価格は288.8万円に(2017年2月末時点)。前期型なら車両本体価格200万円以下の中古車もかなりあります。しかも走行距離は10万km未満! Eクラスにこの値段で乗れるなんて、信じられますか!? ※グラフの単位は万円(車両本体価格)


フルモデルチェンジによる中古車相場の下落はプレミアムカーほど顕著に現れます。なぜなら新型の登場時に無条件で買い替える人が多いから。同じ10%の値落ちでも、元の価格が高い分、下がる金額も大きくなります。

昨年にフルモデルチェンジしたプレミアムカーで象徴的な相場の動きを見せたのがメルセデス・ベンツ Eクラス。2016年7月以降、相場が一気に下落。約8ヵ月で平均価格が130万円以上値落ちしています。

旧型Eクラスは2013年5月以降の後期型とそれまでの前期型ではエクステリアデザインが大きく異なります。人気の後期型はまだ300万円以上の予算を見ておきたいですが、前期型なら総額150万円以下で買える中古車も! 予算を200万円まで上げればE350アバンギャルドやディーゼルモデルのE350 ブルーテック アバンギャルドも見つかりますよ!

中古車相場:130万~550万円
流通量:約370台
 

これからの相場動向に注目しておきたい旧型車は?


走りに定評のあるスズキ スイフトやディーゼルエンジン搭載モデルの人気が高いマツダ CX-5、軽自動車の定番モデルであるスズキ ワゴンRなど、昨年末から今年2月にかけて新型車が登場した人気モデルは、まだ旧型車の中古車相場に大きな動きはありませんが、近いうちに値落ちの兆しが見えるはず。

中古車をお得に買いたい人はフルモデルチェンジの時期に注目してみましょう。高年式低走行の後期型を狙うもよし! 予算重視で前期型を狙うもよし! とことん安く買いたいなら先々代の中古車にまで目を向けてみるのもあり。旧型の値落ちに押される形で値を下げている可能性がありますからね。

text/高橋 満(BRIDGE MAN)
photo/スバル、ホンダ、メルセデス・ベンツ