【試乗】新型 ベントレー コンチネンタルGTC スピード|俊敏なハンドリング? 安定クルージング? 二重車格をもつモデル!
カテゴリー: ベントレーの試乗レポート
タグ: ベントレー / クーペ / コンバーチブル / プラグインハイブリッド / 4WD / コンチネンタルGTC / コンチネンタルGT / EDGEが効いている / 西川淳
2025/06/12
▲ブランドの中核となるクーペ&コンバーチブルは4代目でPHEVに進化。ハイパフォーマンスモデル「スピード」には、4L V8エンジンと1モーターを組み合わせたウルトラパフォーマンスハイブリッドと呼ばれる新型パワートレインを搭載する“電動”を感じさせないドライブフィール
初代コンチネンタルGTはモダンベントレー成功の立役者だった。たまにカーセンサーで低走行の初代W12を見つけると今でも欲しくなる(お買い得だ!)。ブランドイメージを代表するアイコンとして今なお機能する。
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ベントレー コンチネンタルGT(初代)そんなコンチネンタルGTも第4世代へと進化。スタイリングは見たとおり、キープコンセプト。3世代続いた特徴的な4灯タイプヘッドライトをついに諦めた。2灯タイプのタイガーアイ。これまたユニークな表情だ。面白いことにフライングスパーは変わらず4灯だ。
全体のフォルムは基本的に先代モデルを踏襲した。けれどもコンポーネントの約7割が新設計。中でも4L V8エンジン+1モーターのプラグインハイブリッドパワートレインや、アクティブサスペンションシステム、400Vの電気プラットフォームなど、パフォーマンスを決定づける主要なパートはすべて刷新されている。
海外試乗会ですでにその進化ぶりを味わっていたが、日本でもじっくり試乗できる機会がようやく訪れた。コンバーチブルのコンチネンタルGTC スピードを借り出して京都を目指す。それにしても通好みの内外装カラーチョイスで、なんだか心も浮き立つ。カラーリングは本当に重要で、好みに合わないとどんなに好きなモデルでも心の躍り方が鈍くなる。
▲コンポーネントの68%を刷新しつつも、ラグジュアリーモデルらしく従来のイメージを受け継いだスタイルを採用したバッテリーの電気残量も十分あったため、まずは電動走行で始まった。記憶にあるとおり、スムーズに転がるタイヤ&ホイールのおかげで街中走行が驚くほど心地よい。PHEV(プラグインハイブリッド)化によって重量がかなり増したはずだが、バッテリー駆動による反応に優れたトルクの立ち上がりのおかげで、重くなったという印象すらもたない。
よくできたサスのたまものか、はたまた理想的な重量配分を得たからか、ドライブフィールは決して電動車っぽくもないのも良かった。ちなみにアクセル開度75%、最大140km/hまでBEVだ。
もちろんトップを開けてもみた。オープン状態になっても良い意味で肩の力が抜けない。ボディがしっかりと足元を支えている。新たなダンピングシステムが与えられた仕事をきっちりこなし、小さくないタイヤ&ホイールを抑えつけて走る。上半身も下半身も決して震えない。
▲シフトまわりにスイッチ類を配置。12.3インチディスプレイ/アナログメーター/ウッドパネルがセレクトできるローテーションディスプレイが備わる
▲モダンファッションからインスピレーションを得たキルトパターンを採用。前席にはリラクゼーション機能を備えるウェルネスシートがオプションで用意される1000N・mの4WDが生み出す加速フィール
好印象は高速道路に乗ってからも続く。モードはコンフォート。そうするとよくできたグランドツーリングカーに徹してくれる。重量増を嫌味に感じることはなく、むしろ安定感ある走りに寄与しているように思えた。重量バランスの良さがここでも利いているのだ。
他のドライブモードを試してみたところ、Bモード(お任せ)でもよいがスポーツでも悪くなかった。ギュッと引き締まり、ボディサイズもひとまわり小さくなったような錯覚があって、気分的に楽。その分、ライドコンフォートそのものには少しソリッド感が増す。十分、許容できる範囲だろう。
ウルトラ安定したクルージングは時にドライバーの眠気を誘い、ドライブそのものを飽きさせる恐れがあるのだけれど、あまりによくできた工業製品感がかえってドライバーを覚醒させる。インテリアの作り込みの良さもまたドライバーの気分を盛り立てた。
▲最高出力600psの新設計4L V8と190psのモーターを組み合わせ、システム最高出力782ps/最大トルク1000N・mを発揮するワインディングロードではスポーツモードに切り替える。V8クロスプレーンエンジンが特有な野太いサウンドを響かせる。爆音ではないが乗り手の心を躍らせる豊かな音だ。
その走りはというと、4WDの大型クーペであることを忘れてしまうほど俊敏だった。ドライブフィールはFRのスポーツカーそのもの。過去3代とはまるで違う動的クオリティで、コンチネンタル史上、最高のハンドリングマシンだろう。
そのうえ、コーナーからの立ち上がり、1000N・mという莫大な最大トルクと4WDシステムの生み出す加速フィールがとにかく印象的だった。特に痺れたのが中間加速フィール。重量バランスの良さがここでも利いていて、アクセルペダルを踏み込んだときの車体の反応がもはやベントレーとは思えないほどに俊烈。そして速度が上がれば上がるほど、車体が小さく軽くなっていく。
加速と並んで感心したのはタフなコンポジットブレーキだった。強めのブレーキングでも重さを感じさせない。もちろん姿勢も安定したまま。利かせ方も実にコントローラブル。これほど思いどおりに減速できるとなれば、必然的に曲がり終えてからの加速もまた思いのままになるというもの。つまり右足にためらいがなくなる。
峠道をこれほど真剣に楽しめたベントレーは初めてだ。心を落ち着かせようとドライブモードをコンフォートに戻せば、さっきまでのスポーツカーキャラをすっかり忘れたかのように、おとなしく振る舞った。いったいどちらが本当のベントレーなのだろう? どうやら二重の車格をもつモデルのようである。
▲7色が用意されたソフトトップは19秒で開閉、48km/h以下なら走行中でも開閉が可能
▲眉のような水平ラインを備えた、新デザインのシングルヘッドライトを採用
▲トランクリッドがダウンフォースを発生するデザインとすることでリアスポイラーを廃止している
▲新色も追加され、無限に近い内外装カラーの組み合わせからセレクト可能。インテリアの加飾などもユーザーの要望に合わせて仕立てられる
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
先代となるベントレー コンチネンタルGT/GTコンバーチブル(3代目)の中古車市場は?

2017年のフランクフルトショーでお披露目された3代目。スーパーフォーミング製法によってより滑らかな曲面を備えた外観は、フロントアクスルを先代から135mm前方としたロングノーズ&ショートデッキの流麗なスタイルに。
6L W12ツインターボエンジンにはブランド初のデュアルクラッチミッションを組み合わせ、よりスポーティな走りを実現。2019年には4L V8ツインターボが追加設定されている。
GTコンバーチブルは2018年に発表、19秒で開閉するソフトトップを採用する。GT同様に走行性能を向上させただけでなく、ネックウォーマーをはじめオープン時の快適性を向上させている。
2025年6月上旬時点で、中古車市場にクーペのGTは70台程度が流通、支払総額の価格帯は1400万~4650万円となる。そのうち6L W12搭載モデルは45台程度を占めている。
GTコンバーチブルは25台程度流通、支払総額の価格帯は2000万~4400万円となる。こちらは10台ほどが6L W12搭載モデルとなっている。
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ベントレー コンチネンタルGT(3代目)【関連リンク】
この記事で紹介した車
ベントレー
コンチネンタルGT スピード 4WD Blackline Spec Styling Spec(カーボン) Touring Spec Rotating Display Diamond Knuring 22AW RHD
本体価格2790.0万円
支払総額2824万円
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