’70 MERCEDES-BENZ 280SE COUPE
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2013/12/05
運転することが楽で安心、これも安全には大事なことなんだ
デビュー当時は2.5Lエンジンをベースにした2.7Lの6気筒エンジンだったが、1969年には3499ccのV8エンジンが投入された。当時としては画期的だったボッシュ製の電子制御燃料噴射装置を使い、出力は200psを発揮。フラッグシップにふさわしい乗り味を実現していた。また、ATやパワーステアリングも標準装備となり、超高級車として世界中で愛された。
徳大寺 車というのは車両はもちろんだが、ドライバーの安全への意識が高くなければいけないんだ。これが難しいな。だが、自動車メーカーも一生懸命やってるよ。メルセデスはその代表的な存在だな。
松本 安全というと枕詞のようにメルセデスが出てきますが、一番大切なのは巨匠がおっしゃるドライバーの意識でしょうね。メルセデスはクラッシャブルゾーンの開発を1950年代からやっていましたから、当時の無骨ないでたちも理由があったわけですよね。
徳大寺 そうそう。確かメルセデスとしてはモダンなスタイリングになった180シリーズからだな。安全を優先したデザインと言われればそういう感じもするし志も高い。でも、当時、日本ではメルセデスに乗れる人は少なかったんだ。それなりの教育を受けた人たちだったから運転にも気を使ってたんじゃないか。現在の車は電子技術によって知らないうちに制御しちゃうなんてことがあるだろう。昔はそんな装置はなかったのにメルセデスは安心感があったよ。これは凄いことだ。
松本 先日、巨匠と新しい“Sクラス”に乗りに行ったじゃないですか。あの大きさなのにスイスイとワインディングを走りましたからね。
徳大寺 メルセデスは昔っから大きくてもそう思わせないんだよ。運転が楽で精神的に安定していること、これも大事な安全の要素だと思うよ。今回見に行くのもメルセデスなんだろう?
松本 巨匠もかつて乗っていた車です。
徳大寺 メルセデスはいろいろなモデルに乗っているからなぁ。前にエッジで300SEL6.3もやっただろう。450SEL6.9も見に行ったね。残るは250CEと280SE3.5クーペだけどこの企画的には後者だろうな。
松本 そうなんです。250CEよりも280SE3.5クーペのほうが華がありますからね。
徳大寺 カッコいいよな。僕はメルセデスは6.3と6.9以外ほとんどクーペなんだ。仕事で乗るから1人だし、1人にはクーペがいいんだ。
松本 ご存じだと思いますが、少し280SE3.5クーペについて説明しますと、元々は1960年に220SEbクーペ/コンバーチブルが生産されました。
徳大寺 この当時は6気筒エンジンだな。それと220というセオリーどおりで考えれば排気量は2.2Lだろう。
松本 そのとおりです。もう少し付け加えると220SEの“E”(Einspritzung)はインジェクションを表しているんですね。そして今回見に行きます280SE3.5クーペですが、これはM116という3.5L V型8気筒搭載モデルでして、凄いのは電子制御インジェクションなんです。ボッシュのDジェトロニックと呼ばれているタイプですね。世界初の電子制御ではありませんが、進んでいましたね。
徳大寺 普通の280SEクーペと280SE3.5クーペはエンジンが直列6気筒とV型8気筒というふうに異なる。直6とV8では当然エンジンの高さが変わってくるんだ。エンジンを左右に寝かせているV8はエンジンを低くできるので、280SE3.5クーペはボンネットを低くしてグリルも縦長から横長になった。それが新しいデザインへの足がかりを作ったといってもいいんじゃないかと思う。
松本 巨匠、280SE3.5クーペ講座もちょうどいい感じになってきましたが、お店に到着いたしました! 今回はいつもお世話になっているヴィンテージ湘南さんです。280SE3.5クーペが何台かありますけど、このツートンなんかいいんじゃないですか。カッコいいなぁ。欲しくなりますよ。巨匠、同じディーラー車でもヘッドライトが異形ヘッドライトと丸目4灯がありますけど、どうだったんでしょうね。
徳大寺 ほ~。確か当時は選べたんじゃないかな。そんなような記憶がある。ボッシュの異形タイプのヘッドライトのほうがオリジナルでカッコいいと思うだろ? でも4灯のアメリカ仕様もなかなかメルセデスっぽくて悪くないと思うな。しかも当時は4灯のタイプのほうが明るかったんだ。凄いな、このタイヤの切れ方。日本の技術者は驚いていて真似するのに20年はかかってたからね。この切れ角がまた日本にはピッタリなんだ。いまだに国産メーカーはメルセデスの物真似が多いことからも、まだまだ遅れてるんだなー日本車は。
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