※この記事はカーセンサー関東版33号(2000年9月7日発売)に掲載されていたものをWEB用に再構成したものです

ジェット機並みの加速とあり余るパワーを少ないリスクで体感できる

  • ポルシェ 911ターボ 走り|ニューモデル試乗
  • ポルシェ 911ターボ リアスタイル|ニューモデル試乗
↑ウエット路面では、タイヤの滑りとパワーセーブをPSMが巧みにコントロールする(左)リアスポイラーは120km/h以上で張り出し、約60km/h以下で収納される(右)
ポルシェ新世代ターボの試乗会を富士スピードウェイで行うとは、太っ腹な話しである。しかし、当日の路面はウエット…。ドライで思いっきりカッ飛ばせると、勇んでやってきたが出端をくじかれた感じだ。だがそのおかげで一般では味わえない“怖い思い”も体験しやすかった。

ターボならではの豪快な加速は3000rpm以上から。回転リミッターが作動する6800rpmまでアッという間だが、中型ジェット機の離陸時と同様、体全体がシートバックに押しつけられるほどの強いGがシフトアップのたびに襲ってくる。

走行安全性の向上はもちろん走行性能の引き上げにも利いているPSM

  • ポルシェ 911ターボ インテリア|ニューモデル試乗
  • ポルシェ 911ターボ エンジン|ニューモデル試乗
↑インテリアは5種類のカラーから選べる。ティプトロニックが付いたのもニュース(左)モトロニックシステムがPSMと連動してエンジンの機能を制御する(右)
驚いたのはPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメント)の利き味だ。これは限界的な状況で車を縦横両方向で安定させるためのシステム。すでにカレラ4のワインディングでの試乗で見事なコーナートレース性を実感済みだったが、濡れたサーキットでの威力も強力だった。ターボの場合もさすがに4WDだけに、滑ってもフロントが駆動して何事もなかったようにコーナーを立ち上がっていく。

しかし、PSMをオフにするとあり余るパワーのエンジンと、コーナーに到達するまでの車速が異様に高いことも関係して、進入でオーバー、立ち上がりでアンダーステアに変化する。ウエットではタイヤのグリップ限界も低く、そのタイヤの滑りとパワーセーブをPSMは巧みにコントロールしているのだ。

本来PSMの制御は危険な挙動変化にならないようにアシストするもの。だが、カレラ4、ターボともに走行性能の引き上げにも利いている。乗りこなすには相当の腕が必要だが、とりあえずターボの速さは誰にでも少ないリスクで体感できる。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード ターボ
駆動方式 4WD
トランスミッション 6MT
全長×全幅×全高(mm) 4435×1830×1295
ホイールベース(mm) 2350
車両重量(kg) 1540
乗車定員(人) 4
エンジン種類 水平対向6DOHC+ターボ
総排気量(cc) 3600
最高出力[ps/rpm] 420ps/5700rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 57.1kg-m/4600rpm
10・15モード燃費(km/L)
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアム/64
車両本体価格 1680.0万円

桂伸一の責任採点

コンセプト 5点 取り回し 4点 加速性能 5点 ブレーキ性能 5点
フィニッシュ 5点 操作系の使い勝手 4点 乗り心地 5点 環境対策 4点
前席居住性 4点 ラゲージルーム 2点 操縦安定性 5点 燃費 4点
後席居住性 2点 パワー感 5点 高速安定性 5点 ステータス 5点
内装の質感 5点 トルク感 5点 しっかり感 5点 コストパフォーマンス 4点
得点合計 88/100
(Tester/桂 伸一 Photo/佐藤 靖彦)