かつてないかっこいいデザインの国産クーペ、レクサスLC【EDGE’S Attention】
2020/11/22
▲レクサスのフラッグシップクーペが、コンセプトカーと変わらぬデザインで登場したLC。5L自然吸気エンジンを搭載したLC500と、ハイブリッドのLC500hの他、オープンモデルのコンバーチブルも追加された世の中には、こだわりすぎ、コスト度外視、先進的、独創的すぎというモデルが存在する。当然、多くの人が購入できるような大衆性は低い「癖強モデル」。まさにエッジィな一部の人にだけ強烈にぶっ刺さるモデルだ。
そんなエッジィなモデルにEDGE編集部から「アテンション プリーズ!」。
今回は完成度の高いスタイリングを誇るレクサス LCをお届けする。
ほとんどパーフェクトなクーペデザイン
車好きの日本車批判は、何よりもそのデザイン性に集中することが常だった。端的に言って、腰の座りが悪かった。安定性に乏しく、下半身の貧相な車が多かった。もちろん、見るべきデザインがなかったというわけじゃない。だからと言って世界に通用するか?、と問われたなら自信をもって“そうだ”と言い切れなかっただけで、日本車ファンも悩ましかったに違いない。
だからレクサスからLCという名の大型クーペが、ほとんどコンセプトカーと変わらぬデザインで登場した時、実は日本車も好物な筆者は拍手喝采した。だって、国産のかっこいいデザインコンセプトがそのイメージを崩すことなく市販されるなんてことなどいまだかつてなかったことだから。
実際、その実現には我々が想像する以上に苦労が多かったようで、結局は新規のプラットフォーム採用や生産現場での調整をはじめとして想定外のエンジニアリングを多岐にわたって強いられたらしい。
ほとんどパーフェクトなクーペデザインだ。
国産の高級クーペがこれほど完成度の高いスタイリングで登場したのは、2000GT以来じゃないか。
個人的にはルーフエンドからリアまわりにかけての処理にまだ若干の不整合があるように見ていたけれども、待望のコンバーチブルが登場するに及んで、それももうほぼ気にならなくなった。前から見たグラマラスな迫力はクーペでもコンバーチブルでも変わらないので、もし自分で買うとしたならば迷わずオープンを選ぶ。
▲2017年に登場したレクサスのフラッグシップクーペ。2018年と2020年には走行性能などを向上させる改良が行われている
▲5L自然吸気エンジンを搭載したLC500(新車価格1350万~1450万円)とハイブリッドのLC500h(新車価格1400万~1500万円)をラインナップする街で出合うと、つい目がロックして追いかけてしまう
2017年デビュー。とはいえそんなに台数が出回っているわけじゃない。いまだに街で出合うと、「お! 」っと声が出る。振り返りたくなる。ついつい目で追いかけてしまう。かっこいい車とはそういうものだ。
世の中のレクサスユーザーからも一目を置かれているようだ。LCに乗っていて街中や都市高速で他のレクサス車と行き合うと、向こうが気にしている様子がなんとなくこちらに伝わってくる。悪い気分じゃない。かっこいい車に乗るということはそういう気分を味わうことでもある。
ドイツのプレミアムブランド、それもEセグメント以上の高級モデルに乗るユーザーからの視線も気になった。なんならポルシェパナメーラあたりのユーザーでも気にする様子が見て取れる。
ところが逆に、プレミアムブランドのFFモデルに乗る人はほとんど関心を示さなかった。そりゃそうだろう、LCの存在を認めてしまうと、自分の愛車が、せっかくドイツの有名ブランド品であるにもかかわらず、相対的にプレミアムじゃなくなってしまう恐れがあるのだから。人の心の機微というものである。
▲運転席はドライビングの高揚感を演出、助手席は包み込むおもてなしを備えたというインテリア。ドライブモードなどにより表示を変更できるTFT液晶メーターを採用する
▲金属やレザー、アルカンターラなどを用い、職人の手作業により仕上げられたラグジュアリーなインテリアパワートレーンに文句はないが、ライド質感に熟成の余地あり
もちろん、LCにだって気になる点はある。ひとつはインテリア。好みの問題だし、それが個性というものかもしれないけれど、たとえていうなら「子供の頃に金持ちの友達の家へ遊びに行って通された洋間にいるような気分」になる。ドイツ車のインテリアだってお世辞にもかっこいいとは思わないけれども、路線はそのままでいいとして、もう少しシンプルにジャパンラグジュアリーを表現できれば最高だろう。
5Lの自然吸気エンジンはすこぶるつきの官能フィールを味わせてくれる。大排気量の自然吸気エンジンはもはや絶滅危惧種なので、批判より積極的な擁護が必要な部類だと思う。ただ、レクサスのノーマルモデルにはやはりハイブリッドの方が似合う。コンバーチブルにハイブリッドの設定はないが、どちらのパワートレーンにも文句はない。
注文があるとすれば、それは高速クルーズ時のライド質感だ。以前からその傾向はあって、だんだん良くはなってきたが、やっぱりまだフロントアクスルまわりの一体感に乏しいと思う瞬間がある。安定感は出てきたけれど、それが心地よいかと問われると、ちょっと気になる。ステアリングホイールを握る手、エンジンまわり、フロントアクスル、タイヤ、それぞれをバラバラに感じてしまう瞬間が、80~90km/hあたりで特に多かった。
もっともこの手の大型クーペは息が長い。良い車だけにじっくりと熟成させてほしいと思う。
▲2+2の贅沢なパッケージングのオープンモデル、LCコンバーチブル。価格は1500万円となる
▲15秒で開閉可能なソフトトップを採用。書の三折法のリズムをヒントに開閉動作を3ステップとし、動作前後にタメをもたせつつ優雅で自然な動作を実現しているという
自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
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